【激動のRCEP】インドの離脱示唆は「究極の二枚舌」か?モディ首相が農家と国際社会の間で揺れる真意

東アジアの巨大な経済圏を築こうとするRCEP(アールセップ)交渉が、今、激震に見舞われています。2019年11月4日夜、タイのバンコクで開催された首脳会合において、インドのモディ首相が突如として交渉からの離脱を匂わせる発言を行ったのです。

RCEPとは、日本や中国、韓国、そしてASEAN諸国など計16カ国が参加し、関税を撤廃して自由な貿易を目指す広域的な経済連携協定のことです。もし実現すれば、世界の人口やGDPの約3割を占める超巨大市場が誕生するはずでした。

しかし、モディ首相はインド独立の父であるガンジーの教えを引き合いに出し、「自らの分別からも参加は許されない」と強い言葉で他国を突き放しました。2020年の合意に向けて各国が歩み寄っていた中での、まさに「ちゃぶ台返し」とも言える異例の事態です。

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支持率急落に焦る政権と「農家の悲鳴」

なぜ、インドはこれほどまでに強硬な姿勢を見せているのでしょうか。その背景には、モディ政権が直面している深刻な国内景気の低迷があります。2019年4月から6月期の成長率は5%にまで沈み込み、直近の7月から9月期はさらに悪化する見通しです。

SNS上では、この決断に対して「インドを救った英断だ」と称賛する声が溢れています。特に、ニュージーランドなどからの安価な乳製品流入を恐れる酪農家や中小企業からは、安堵の溜息が漏れているのが現状でしょう。

インドの人口の半数以上を占める農家は、政権にとって最大の支持基盤、いわゆる「大票田」です。2019年10月の地方選挙で与党が苦戦を強いられたことも、モディ首相が国際的な協調よりも国内の民意を優先せざるを得なかった大きな要因だと分析されています。

成長のチャンスか、それとも孤立への道か

一方で、インドの産業界からは「15カ国の活気ある市場へのアクセスを失うのは損失だ」と、将来を危惧する意見も根強く残っています。RCEPは、製造業を振興する「メーク・イン・インディア」政策を加速させる好機でもあったからです。

興味深いのは、首脳会合での厳しい発言とは裏腹に、事務方からは「要求が通れば交渉に残る」といった柔軟な姿勢も見え隠れしている点です。国際社会に向けたポーズと、国内向けの顔を使い分ける「二枚舌」とも取れる振る舞いに、各国は翻弄されています。

個人的な見解を述べれば、自国の弱者を守る政治判断は理解できますが、アジアでの孤立は長期的な国益を損なうリスクを孕んでいます。経済大国への階段を上るインドが、内向きな論理と国際的なリーダーシップをどう両立させるのか、その手腕が問われています。

日本にとっても他人事ではない「インド不在」の衝撃

日本政府の関係者も、インドの真意が読み解けず困惑の色を隠せません。巨大な市場を持つインドが抜けてしまえば、RCEPの魅力は半減し、実質的には中韓との自由貿易協定と大差なくなってしまうという懸念があるからです。

2019年11月28日現在、インドから正式な離脱通知は届いていないとされています。まだ交渉の火は消えていませんが、モディ首相が切った「離脱カード」が、今後のアジアの勢力図を大きく塗り替える可能性は極めて高いと言えるでしょう。

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