2019年11月28日、医療業界に革命を起こそうとしている人物がいます。株式会社HIROTSUバイオサイエンスの代表、広津崇亮氏です。彼は今、体長わずか1ミリほどの「線虫(せんちゅう)」という生物を使い、がんを早期発見する画期的な検査技術に情熱を注いでいます。線虫とは、土壌などに生息する多細胞生物でありながら、非常に優れた嗅覚を持つことで知られる生き物です。
広津氏がこの不思議な生き物と歩み始めたのは、東京大学4年生だった頃に遡ります。当時の彼は、後に自分の人生を左右する研究テーマを、恩師の勧めによって決定しました。そのきっかけは、米国から帰国したばかりの助手、飯野雄一先生から掛けられた「線虫はこれから面白くなる」という一言だったのです。専門家の鋭い直感によって、未知の領域への扉が開かれた瞬間といえるでしょう。
驚くべきことに、研究をスタートさせた当時の広津氏は、線虫に関する知識を全く持ち合わせていませんでした。現代では多くの大学に線虫の研究室が存在し、ごく一般的な研究対象となっていますが、当時は状況がまるで異なっていたのです。日本全国を見渡しても、線虫を専門に扱う研究者は10名にも満たないほど、マイナーで孤独な分野でした。
SNS上では、この広津氏の原点について「一見地味な研究が世界を救う技術に化ける過程がワクワクする」といった驚きや、「先生の直感が正しかったことが証明されていて凄い」という感銘の声が多く寄せられています。何が成功に繋がるか分からない科学の世界において、自身の興味よりも周囲の助言を素直に受け入れ、没頭した彼の姿勢に共感する人が増えているようです。
交尾行動から始まった探究心と科学のロマン
飯野先生の指導のもとで広津氏が最初に取り組んだのは、線虫の「交尾行動」というテーマでした。一見すると医療とは無関係に思えるこの地道な観察こそが、後の大発見を支える基礎体力を養ったに違いありません。誰も注目していなかった時代から、顕微鏡越しに小さな命と向き合い続けた経験が、現在の革新的ながん検査技術へと繋がっているのです。
編集者としての私見ですが、広津氏の歩みは「キャリアの偶発性」を体現していると感じます。最初から壮大な夢を持っていなくても、目の前の課題に夢中になることで道は拓けるのでしょう。2019年11月28日現在、彼が見つめる先には、線虫の力で誰もが安価に精度高く病を見つけられる社会が明確に見えています。1ミリの線虫が人類を救う日は、すぐそこまで来ているのかもしれません。
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