滋慶医療科学大学院大学教授の飛田伊都子さんによる「患者参加論」の講義は、医療のあり方を根本から問い直す、非常に奥深いテーマを扱っています。看護師としての長い臨床経験を持つ飛田教授でさえ、当初このテーマに触れた際は、何の違和感も覚えなかったと言います。日常的に患者さんと接し、「医療の枠組みの中で様々なことを共有できている」と感じていたため、患者さんはすでに医療へ参加しているものだと考えていたからです。しかし、この「患者参加」という概念を深く掘り下げていくうちに、当初の認識が非常に浅薄なものであったと気づかされたそうです。
「患者参加」という考え方のルーツは、医療の文脈に限定されるものではありません。そのきっかけは、故ジョン・F・ケネディ米大統領が提唱した消費者運動にまで遡るとされています。これは、消費者が購入した商品に問題があったとしても、生産者に対して意見を述べることが難しい、いわば「弱者」の立場にあった当時の状況を改善しようというメッセージでした。つまり、消費者が安心して購買できる環境を整備することが求められていたわけです。
この消費者を守るという考え方を医療の現場に当てはめると、患者さんは提供された医療に何らかのミスがあった場合でも、自分の意見を主張できない立場にある、ということになります。このような状況では、患者さんが安心して医療サービスを利用できる環境とは言えません。そこで、患者さんが安全に保護される、情報を受け取れる、治療やケアを選択できる、そして意見を傾聴してもらえるといった「権利」を持つこと、そしてそれをいかに具体化するかが極めて重要になってくるのです。
現在の医療現場では、この患者参加を実現するための取り組みが、いくつかの異なるレベルで実践されています。例えば、医療者側が提案した内容に患者さんが同意する形での参加だけでなく、患者さん自身が要望を発言したり、医療計画や新たな治療法の開発に携わったり、さらには計画を評価・見直しを行うなど、多岐にわたる次元での関わりが見られます。これらの様々な参加の形こそが、患者さんの安全を確保し、より質の高い医療を築き上げるために欠かせない要素だと言えるでしょう。
2019年6月3日時点でのこの記事は、医療における「患者参加」という概念の重要性を改めて浮き彫りにしています。この考え方は、医療の透明性を高め、患者さんと医療者が対等なパートナーシップを築くための基盤です。筆者の私も、患者参加は単なる医療への協力ではなく、安全で質の高い医療の実現に不可欠な**「共創」のプロセスだと強く感じています。医療現場で働く人々はもちろんのこと、私たち一人ひとりがこのテーマについて深く考え、行動することが、未来の医療を形作っていくのではないでしょうか。
SNSでの反響と「患者参加」が持つ社会的意義
この記事が発信された当時のSNSでも、「患者参加」の概念の奥深さに驚きの声が上がりました。「看護師さんでも最初は誤解していたという点がリアル」「患者主権という考え方をもっと広めるべき」といった意見が交わされていました。「患者参加」が消費者運動に端を発するという歴史的背景も、多くの読者にとって新鮮な情報として受け止められたようです。この反響は、「医療におけるアドボカシー**(権利擁護)」の重要性に対する社会的な関心が高まっていることを示唆しているでしょう。
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