世界を牽引する上場企業たちの懐事情に、冷たい風が吹き抜けています。2019年11月18日現在の集計によれば、世界約1万8000社の2019年7月〜9月期における純利益は、前年の同じ時期と比べて8%も減少しました。これで4四半期連続のマイナス成長となり、世界景気の減速がはっきりと数字に表れた形です。SNS上でも「景気後退の足音が聞こえる」といった不安の声が広がっており、投資家たちの視線はかつてないほど鋭くなっています。
今回の業績悪化において、特に足を引っ張ったのは「製造業」の不振でしょう。地域別に見ると、アメリカや欧州、日本、そして中国を除くアジアの主要4地域すべてで減益を記録しました。中でもアジア地域は10%減と落ち込みが激しく、製造業への依存度が高い経済構造が裏目に出た格好です。中国市場では金融部門こそ健闘していますが、実体経済を支えるものづくりの現場からは、依然として厳しい悲鳴が上がっているのが現状です。
自動車と電機を直撃した需要減退の波
不振の象徴と言えるのが、私たちの生活に身近な自動車や電機セクターです。自動車業界は12%減と6四半期連続の苦境に立たされており、アメリカのフォード・モーターは中国での販売不振が響いて純利益が57%も吹き飛びました。スマホ需要の停滞も深刻で、韓国のサムスン電子は半導体価格の下落によって純利益が半減しています。米中貿易摩擦という巨大な火種が、企業の投資意欲を冷え込ませていることは間違いありません。
一方で、デジタル化の波に乗るIT大手の勢いは対照的です。フェイスブックはネット広告の好調により19%の増益を達成し、マイクロソフトも「クラウド事業」が絶好調で全体を牽引しています。クラウド事業とは、自社でサーバーを持たずにインターネット経由でソフトやデータを利用する仕組みのことです。製造業が「モノ」の停滞に苦しむ中で、形のない「サービス」を提供する企業が利益を積み上げている構図は、現代経済の大きな転換点と言えるでしょう。
5Gが切り拓く!10月〜12月期の底入れ期待
暗いニュースが続く中で、ようやく希望の光も見えてきました。次世代通信規格である「5G」の商用化や、膨大なデータを処理するデータセンターへの投資が再び活発化しています。これにより、ハイテク産業の心臓部である半導体大手10社の業績は、前の四半期と比較して増益に転じました。アナリストの予測では、2019年10月〜12月期は世界全体で27%の利益回復が見込まれており、株式市場もこの「底入れ」を期待して上昇を見せています。
編集部としては、この楽観論には慎重な見極めが必要だと考えています。数字上の回復期待は大きいものの、米中協議の行方は依然として五里霧中であり、現場の企業心理が完全に回復したとは言い切れません。製造業の復活が本物になるのか、それとも一時的なリバウンドに終わるのか。2019年末に向けた動きは、まさに世界経済の今後数年を占う試金石となるはずです。私たちは今、非常に重要な分岐点に立ち会っているのではないでしょうか。
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