ビジネスの現場で「働き方改革」の旗印として注目を集めてきたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が、いよいよ真の進化を遂げようとしています。世界トップクラスのシェアを誇る米UiPath(ユーアイパス)の日本法人は、2019年11月19日、2020年春に向けた大幅な製品拡充を発表しました。これまでは限定的な定型業務の自動化に留まっていましたが、これからは業務全般を丸ごとカバーする驚きの展開が始まります。
SNS上では、今回の発表に対して「ついに対象業務の全容が見える化されるのか」「人間の判断を組み込めるのは心強い」といった期待の声が続々と上がっています。RPAとは、人間がパソコンで行う単純作業をロボットに代行させる技術のことですが、今回の拡充はその定義を根本から書き換える可能性を秘めているのです。UiPathは、まさに企業全体の生産性を底上げする「救世主」としての地位を盤石にしようとしています。
業務を「見える化」して判断まで任せる新機能の正体
今回の進化で特に注目すべきは、「エクスプローラー」と「アップス」という新機能の導入でしょう。「エクスプローラー」は、プロセスマイニングという高度な分析手法を採用しています。これは、ERP(統合基幹業務システム)などの操作ログを収集し、ブラックボックス化しがちな業務の流れを視覚的に浮かび上がらせる仕組みです。データに基づき、どの工程を自動化すべきかを客観的に判断できるのは大きな強みといえます。
一方の「アップス」は、これまでRPAの弱点とされていた「人間の判断」を自動化の流れの中に組み込む画期的なツールです。例えば、価格交渉や最終的な決裁など、どうしても人間が介在しなければならなかったステップをスムーズに連携させることが可能になります。これにより、断片的だった自動化のパズルが一つにつながり、最初から最後まで止まらない「エンド・ツー・エンド」の業務フローが実現するでしょう。
さらに、ロボットの稼働状況を分析する「インサイツ」や、各機能を統合的に管理する「コネクト」も追加され、製品ラインナップは大幅に厚みを増しています。これらは10月に買収したオランダのプロセスゴールド社やエストニアのステップショット社の先端技術を融合させたものであり、UiPathの本気度が伺えます。戦略的な買収によって、単なるツールから「業務基盤」へと昇華させようとしているのです。
日本企業の「自動化のDNA」を呼び覚ます挑戦
日本国内での勢いも目を見張るものがあります。2019年1月時点で780社だった導入企業数は、2019年10月末には1300社にまで急増しました。この爆発的な普及背景について、同社の長谷川康一社長は、2019年末には2000社に達するとの強気な見通しを示しています。明確な定価は設定されていませんが、開発ライセンスは数十万円程度からと、導入のハードルは決して高くありません。
創設者のダニエル・ディネスCEOは、日本の歴史を引き合いに出し、1930年代の繊維産業における自動化の成功を高く評価しています。日本にはもともと自動化を受け入れ、改善していく「DNA」が備わっているという指摘は非常に興味深いものです。私自身も、このRPAの進化は単なるコスト削減ではなく、日本人が本来持っている創造的な仕事に集中するための「デジタルな相棒」を得ることだと確信しています。
今回のUiPathの挑戦は、一部の作業効率化という枠を越え、企業文化そのものをアップデートする契機になるはずです。業務プロセス全体をデジタル化の波に乗せることで、停滞していた日本の生産性が再び世界を驚かせる日が来るかもしれません。2020年春、私たちの働き方は、この小さなソフトウェアロボットたちによって、より自由でダイナミックなものへと塗り替えられていくに違いないでしょう。
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