デジタル人民元が世界を変える?中国の野心と「通貨の国際化」を阻む大きな壁

2019年12月03日、中国の習近平指導部が打ち出した「デジタル人民元」の構想が世界に衝撃を与えています。この計画は単なる決済手段の電子化にとどまりません。中国はデジタル通貨の発行を起爆剤として、自国通貨である人民元をドルやユーロに並ぶ「国際通貨」へと押し上げようとする壮大な野望を抱いているようです。

デジタル人民元の最大の特徴は、銀行口座を介さずにスマートフォン内の「デジタル財布」だけでやり取りが完結する点にあります。これまでの常識を覆す利便性は、ネット上でも「銀行不要の時代が来るのか」「途上国での普及が早そう」といった驚きの声が上がっており、SNSを中心にその革新性が大きな注目を集めています。

野村総合研究所の木内登英氏によれば、この取り組みは巨大経済圏構想「一帯一路」と深く結びついているといいます。中国と経済的つながりが強い国々で人民元を使いやすくし、ドルに依存しない経済圏を構築する狙いがあるのでしょう。銀行口座を持てない層が多い地域でも、スマホ一台で決済が可能になる仕組みは強力な武器になります。

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立ちはだかる資本規制と信頼性のハードル

しかし、世界に通用する通貨への道は決して平坦ではありません。国際決済銀行(BIS)の統計を見ると、世界の通貨取引におけるシェアは米ドルが約44%と圧倒的で、日本円も約8%を占める一方、人民元はいまだ約2%に甘んじています。この数字の差は、中国独自の厳しい「資本規制」が要因であると考えられます。

資本規制とは、国が資金の流出入を制限するルールのことです。現在、中国では海外送金に複雑な書類が必要だったり、個人の両替額が年5万ドルまでに制限されたりしています。アジア開発銀行研究所の吉野直行所長は、国際化の成功にはこの規制の緩和と為替相場の安定が不可欠であると鋭く指摘しています。

私個人の視点としても、通貨の価値は最終的に「信用の裏付け」に帰結すると感じます。いくら技術が最先端でも、自由に換金できない通貨を世界の企業が安心して保有するとは思えません。規制を緩めれば元安を招く恐れもあり、デジタル人民元が主要通貨の仲間入りを果たすには、まだ多くの試練が待ち受けているはずです。

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