【社説】巨大IT企業のデータ独占に警鐘!IoT・クラウド市場で問われるデジタル社会の公正性

あらゆるモノがインターネットに接続される「IoT」や、ネットワーク越しに高度なシステムを利用できる「クラウド」は、もはや現代社会の心臓部といえます。しかし現在、米国の巨大IT企業による圧倒的なデータ独占に対し、世界中で危機感が高まっています。デジタル経済の基盤が一部の企業に握られれば、小規模なプレイヤーが排除されるリスクがあるからです。

SNS上では、こうした便利さの裏側にある「情報の囲い込み」について、プライバシーの観点から不安視する声が目立ちます。特に個人の行動履歴や健康状態が特定の企業に集約されることへの抵抗感は根強いようです。公正な競争環境を維持するために、各国の規制当局にはこれまで以上に厳格な監視が求められているといえるでしょう。

象徴的な動きとして、2019年11月初旬にグーグルがフィットネス端末大手のフィットビット買収を発表しました。これにより、同社は2800万人以上のユーザーが持つ心拍数などの生体データを手に入れることになります。アマゾンも音声操作デバイスを次々と投入しており、私たちの家庭内の会話や生活習慣が巨大企業のサーバーへ蓄積されようとしています。

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主力事業の枠を超えた衝突とクラウド市場の覇権争い

これまで巨大IT企業は、検索や通販、SNSといった独自の領域で棲み分けを図ってきました。しかし現在はさらなる成長を求め、IoTやクラウドといった新領域で激しく衝突しています。クラウドとは、自前でサーバーを持たずにネット経由で計算資源を借りる仕組みを指しますが、ここでも巨額の投資が可能な大手の優位性は揺らぎません。

2019年10月末には、米国防総省の大規模システム受注を巡り、マイクロソフトがアマゾンを抑えて最大100億ドルの契約を獲得したことが話題となりました。こうしたインフラの独占は、サービスの低価格化に貢献する一方で、特定企業への過度な依存という新たな課題を突きつけています。市場の健全な拡大には、多様な企業の参入が不可欠です。

私は、こうしたデータの集中がイノベーションの芽を摘むのではないかと危惧しています。データは「現代の石油」とも称されますが、その採掘権が一部に偏れば、新しい発想を持つスタートアップが育つ余地がなくなります。巨大IT企業側も、強引な手法でユーザーの不信感を買えば、長期的には自らの首を絞めることになると自覚すべきです。

今後、製造業などでの活用が進むIoT分野は、日本企業が培ってきた技術力を発揮できる大きなチャンスでもあります。巨大な資本力を持つ米IT企業に対抗するのは容易ではありませんが、独自の知恵と機動力で市場を切り拓く国内企業の登場を期待せずにはいられません。今こそ、デジタル社会の公平なルール作りを真剣に議論する時です。

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