中国が世界に誇るITの巨人、騰訊控股(テンセント)が2019年11月13日に発表した2019年7月~9月期の連結決算は、業界に少なからず衝撃を与えました。純利益は前年同期比で13%減の203億元、日本円にして約3160億円という結果になったのです。最終減益を記録するのは、当局の規制によってゲーム事業が大きな打撃を受けた2018年10月~12月期以来の出来事であり、3四半期ぶりの足踏みとなっています。
このニュースを受けてSNS上では、「あのテンセントでも苦戦するのか」といった驚きの声や、「中国経済全体の冷え込みを反映しているのでは」といった懸念が広がっています。企業の利益を圧迫した主な要因は、屋台骨の一つであるネット広告事業の伸び悩みです。一時期の爆発的な成長には陰りが見え始めており、投資家の間でも慎重な見方が強まっているように感じられます。
新興勢力バイトダンスの台頭と「マクロ環境」の正体
なぜ広告事業がこれほど苦戦しているのでしょうか。まず、テンセント自身が「挑戦的なマクロ環境」と表現している通り、中国国内の景況感がかつての勢いを失いつつあります。マクロ環境とは、個別の企業努力ではコントロールできない、物価や消費動向といった社会全体の経済状況を指す言葉です。2018年に開催されたサッカーW杯の反動による広告出稿の減少も、数字を押し下げる一因となりました。
さらに、若者の支持を急速に集める「TikTok」を運営するバイトダンスなどの新興企業の台頭も見逃せません。限られた広告予算を奪い合う、まさに「供給過剰」の戦国時代に突入しているのです。特に動画配信サービスなどのメディア部門は28%の大幅減収となりました。これは、政府による自社制作ドラマの審査遅延が影響していると見られ、コンテンツビジネスが常に政治的なリスクと隣り合わせであることを痛感させられます。
ゲーム事業の復活と未成年規制の新たな壁
一方で、光が差し込んでいる分野もあります。かつて審査の凍結に泣かされたネットゲーム事業は、売上高が11%増と堅調な回復を見せました。しかし、この明るい兆しにも新たな暗雲が垂れ込めています。2019年10月下旬、国家新聞出版署が発表した「未成年のゲーム利用制限」という強力な規制方針です。これにより、自由なビジネス展開に再びブレーキがかかる可能性は否定できません。
一編集者としての視点では、現在のテンセントはまさに「脱皮」の苦しみに直面しているように見えます。これまでのような右肩上がりの神話が終わり、いかにして規制やライバルとの競争を勝ち抜くかという、質の高い経営が問われるフェーズに移行したのでしょう。巨大プラットフォームとしての底力は健在ですが、今後も当局の動向一つで収益が左右される危うさは、投資家にとって最大の注目ポイントであり続けるはずです。
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