日本の事務機器大手として知られるリコーが、長らく課題となっていたインド子会社の経営問題に大きな区切りを迎えました。現地で複合機の販売や保守サービスを担ってきた「リコーインド」の会社更生計画案が、現地の会社法審判所によって正式に承認されたのです。
今回の決定は2019年11月28日に下されました。もし今後30日以内に第三者からの異議申し立てがなければ、この承認は確定することになります。2018年1月に始まった更生手続きは、インド特有の商習慣や法規制の壁に阻まれながらも、ようやく出口が見えてきたといえるでしょう。
「会社更生手続き」とは、経営破綻の危機にある企業が裁判所の管理下で事業を継続しながら、負債の整理や組織の立て直しを図る法的な再建プロセスを指します。SNS上では「ついに決着か」「海外展開の難しさを象徴している」といった、安堵と懸念が入り混じった反応が寄せられています。
計画によれば、リコーが保有するリコーインドの株式73.6%は、すべて地元の経営陣が率いる「ミノーシャ・デジタル・ソリューションズ・プライベート・リミテッド」へ譲渡、または消却される予定です。これにより、リコーは現地の資本から完全に手を引く形となります。
一定の移行期間を経て、長年親しまれた「リコー」のブランド名も変更される見通しです。かつてのリコーインドは2017年3月期に約212億円の売上を記録していましたが、56億円という巨額の最終赤字を計上し、主要取引先とのトラブルも相次いで表面化していました。
ビジネスにおける「債権回収」が困難になったり、契約不履行が発生したりした背景には、現地拠点のガバナンス(統治)の甘さがあったと推測されます。一度信頼を損なうと、どれほど技術力があっても事業を継続するのは容易ではないという、厳しい現実を突きつけられました。
リコー側は、すでに2018年5月の段階で同社を連結決算の対象から除外しており、「グループ全体の業績に与える影響は軽微である」と説明しています。損失を早期に切り離すことで、本体の財務健全性を維持しようとする戦略的な判断が読み取れるのではないでしょうか。
個人的な視点ですが、急成長を続けるインド市場は、その巨大なポテンシャルの一方で、極めて複雑な商慣習を持つ「難攻不落」の土地でもあります。今回の撤退に近い再編は、リコーが将来的に再びこの地で勝負するための、苦渋の、しかし必要な損切りだったと感じます。
今後は、新体制となるミノーシャ社がどのように事業を引き継ぎ、顧客へのサポートを継続していくのかが注目されるでしょう。日本企業のグローバル経営において、拠点の自律性と本社によるコントロールのバランスをどう取るべきか、改めて考えさせられる事例となりました。
コメント