2019年11月に日本経済新聞社が発表した「NEXTユニコーン調査」にて、堂々の21位にランクインした注目企業をご存知でしょうか。その名は、インフォメティス株式会社です。東京都港区に拠点を置く同社は、AI(人工知能)とIoTを融合させた革新的な電力情報サービスを展開しています。
私たちの生活に欠かせない電力を、ただ使うだけでなく「賢く管理する」時代が到来しました。ネット上では「電力の見える化で節約が捗りそう」「AIが家電を特定するなんて魔法みたい」と、期待の声が数多く上がっています。スマートホームの心臓部を担う、彼らの挑戦に迫ります。
センサー1つで家中を把握する驚異の技術
インフォメティスの最大の特徴は、2019年11月から本格提供を開始したアプリ「ienowa(イエノワ)」に集約されています。このサービスは、分電盤にたった1つの電力センサーを設置するだけで、家庭全体の電力使用量をリアルタイムで可視化できるという優れものです。
ここで活躍するのが、同社が誇る「機器分離推定技術」です。これは、複雑に混ざり合った電流の波形をAIが瞬時に分析し、「今はテレビが動いている」「冷蔵庫のコンプレッサーが回った」と、個別の家電ごとの使用量を割り出す専門技術を指します。
本来、家電ごとの消費量を知るには、各コンセントに測定器を付ける必要がありました。しかし、インフォメティスはAIの力で、その手間とコストを劇的に削減したのです。まさに、家中のエネルギーの流れを読み解く「翻訳機」のような役割を果たしていると言えるでしょう。
ソニーのDNAと「AIBO」から受け継がれた知能
この独創的な技術の源流は、実はソニーにあります。インフォメティスは2013年に、ソニーの事業から独立する形で誕生しました。かつて世界を驚かせた犬型ロボット「AIBO(アイボ)」の開発で培われた高度なAIアルゴリズムが、形を変えて電力分析に応用されているのです。
只野太郎社長は、かつてソニーで回路設計を担っていた情熱的なエンジニアです。2012年頃、社内の構造改革によってプロジェクトの中止危機に直面した際、彼は「自分の人生をかける価値がある」と確信し、外部資金を得て独立するという、不退転の決意でこの事業を守り抜きました。
現在、約40名のスタッフのうち半数以上をエンジニアが占めています。イギリスのケンブリッジにも研究拠点を構えており、2019年12月04日時点でも、世界最先端の機械学習の研究者たちと交流しながら、その分析精度をストイックに磨き続けている真っ最中です。
節電の先にある「宝」を掘り起こす
単に「何に電気を使ったか」を知るだけでは、彼らのゴールではありません。只野社長が「深掘りすることで宝になる」と語るように、その先にある行動変容こそが本質です。例えば、地域の電力ピークを分散させるために、特定の時間帯に家電の使用を促し、報酬を出す仕組みも構想されています。
家計に優しいだけでなく、地球環境にも貢献できるこのプラットフォームは、まさに現代社会が必要としているものです。私は、このように「ユーザーの無意識な努力」をテクノロジーが支える仕組みこそが、真のDX(デジタルトランスフォーメーション)であると強く確信しています。
見守り機能や外部連携による家電操作など、広がる可能性は無限大です。住宅メーカーや賃貸管理会社との連携も加速しており、私たちの住まいがインフォメティスの技術によって「より賢く、より温かい場所」へと進化していく様子を、今後も注視していきたいと考えています。
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