2019年12月05日、国内トップクラスの精密機器メーカーであるキヤノンが、大きな岐路に立たされています。同社の経営を長年支えてきた「デジタルカメラ」と「事務機」という2つの巨大な柱が、今まさに激しい逆風にさらされているからです。特に、かつては花形だった一眼レフカメラの初級機は、スマートフォンのカメラ性能向上によって市場そのものが急速に縮小しており、販売台数の落ち込みに歯止めがかからない深刻な事態となっています。
追い打ちをかけるように、屋台骨である「複合機」などの事務機器ビジネスも苦戦を強いられています。欧州を中心とした世界的な景気減速の影響により、企業が設備投資を控える動きが強まったためです。本体の売れ行きだけでなく、高収益源であるトナーなどの消耗品の動向も鈍く、2019年度は3期ぶりの最終減益を余儀なくされる見通しとなりました。こうした現状に対し、SNS上では「時代の変化を感じる」「キヤノンほどの企業でもこれほど苦戦するのか」といった驚きや懸念の声が広がっています。
新規事業が未来を照らす!ミラーレスと医療機器へのシフト
しかし、このまま沈んでしまうようなキヤノンではありません。同社は現在、失った利益を取り戻すための強力な「反転攻勢」を仕掛けています。その筆頭が、成長著しい「ミラーレスカメラ」への注力です。一眼レフに代わる次世代のスタンダードとして、製品ラインナップを劇的に充実させることで、プロやハイアマチュア層の心を再び掴もうとしています。ミラーレスとは、内部の反射鏡をなくすことで小型軽量化と高速連写を実現した技術であり、現在のカメラ市場における再興の鍵を握る存在です。
さらに、カメラで培った光学技術を応用した「医療機器」や「監視カメラ」といった新規事業が、目覚ましい成長を遂げています。これらは「BtoB(法人向けビジネス)」として、景気変動に左右されにくい安定した収益基盤を築きつつあります。加えて、半導体業界の市況が底を打ちつつあることも追い風となり、半導体を作るために不可欠な「露光装置」の需要も回復の兆しを見せてきました。露光装置とは、光を用いて回路パターンをウェハーに焼き付ける、精密技術の結晶とも言える装置を指します。
編集者の視点から言えば、現在のキヤノンは「老舗の脱皮」という非常にスリリングな局面にあります。伝統的なビジネスモデルが崩壊する中で、次世代の芽をこれほど迅速に育て上げている点は、日本企業の底力を感じさせます。徹底した構造改革によるコスト削減も着実に進んでおり、次期は増収増益へと転じる期待が十分に持てるでしょう。逆境を糧にして進化を遂げるキヤノンの姿は、多くの投資家やファンにとって、再び希望の光として映っているに違いありません。
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