2019年12月5日、島根県安来市のアパートで発生した痛ましい事件の続報が入ってきました。小学4年生の増田陸君(10歳)と44歳の母親が血を流して倒れているのが発見され、陸君の死亡が確認されたこの事件。捜査関係者への取材により、事件の背景にある母親の不安定な精神状態と、行政とのやり取りが徐々に明らかになっています。
亡くなった陸君は、かつて島根県中央児童相談所によって一時保護されていました。「一時保護」とは、子供の安全を確保するために児童相談所の判断で親から離し、施設などで預かる措置のことです。SNS上では、この痛ましい結末に対し「なぜ防げなかったのか」「行政の判断は正しかったのか」といった悲痛な声や、児相の対応を疑問視する投稿が相次いでいます。
驚くべき事実に、この一時保護の期間中、母親は児相に対して自ら命を絶つことを示唆する趣旨の発言を繰り返していたことが判明しました。これを受け、児相は陸君を自宅へ帰す条件として、母親に一つの約束をさせています。それは、今後は二度と「死にたい」と口にしないことを誓う誓約書の提出でした。
2019年12月5日現在、県警は意識不明となっている母親が、無理心中を図った可能性が高いとみて慎重に調べを進めています。「無理心中」とは、親が子供などを道連れにして自殺を図る極めて悲劇的な行為を指します。誓約書という紙切れ一枚で、深刻な心の叫びを抑え込もうとしたアプローチが適切だったのか、今まさに議論が巻き起こっています。
編集者としての私見ですが、精神的に追い詰められた人間に「死ぬと言わない」と約束させることは、かえって本人のSOSを封じ込め、孤独を深めさせてしまったのではないかと感じてなりません。命を守るべき最前線にいる児童相談所には、形式的な書類手続き以上に、親子の心に深く寄り添う継続的なケアが求められていたのではないでしょうか。
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