イギリスでは入院の予約を入れてから実際に病床が確保されるまで、およそ1ヶ月も待たされるという話をご存知でしょうか。現地の方に真相を尋ねたところ、「確かにその通りですが、本当に困った時はインドへ行きます。あちらにはイギリスの資格を持つ医師が多いうえ、すぐに入院できますから」という、驚きの答えが返ってきました。
これは決して冗談ではなく、イギリスの医療制度が抱える切実な現状を反映しています。イギリスは、税金を財源として国民に無償で医療を提供する「国営システム(NHS)」を採用しています。一見すると理想的な仕組みですが、自由な開業や病院選びが制限されており、国の財政が悪化すれば設備の整備が遅れ、数ヶ月待ちという事態も珍しくありません。
SNS上でも「海外の医療費や待ち時間を知ると、日本の便利さが身に染みる」といった声が多く上がっています。一方で、世界最高水準の技術を誇るアメリカはどうでしょうか。アメリカは民間の保険が主流であり、高額な保険料を自前で支払う必要があります。加入する保険の種類によって受けられる新薬が制限されるなど、経済格差が命の格差に直結しています。
2015年時点のデータによれば、アメリカでは約3000万人もの人々が無保険状態に置かれています。こうした諸外国の状況と比較すると、2019年12月09日現在の日本が維持している「国民皆保険制度」がいかに恵まれたものであるかが理解できるでしょう。誰もが自由に医療機関を選び、適切な費用で高度な治療を受けられるのは、世界でも稀有なことなのです。
高齢化社会の荒波と日本の医療が直面する岐路
しかし、この素晴らしい日本の社会保険システムも、決して安泰ではありません。急速に進む高齢化の影響により、医療費は年々膨らみ続けており、保険の収支バランスは悪化の一途を辿っています。現状の仕組みをそのままの形で維持していくことは、客観的に見ても非常に困難な局面を迎えていると言わざるを得ません。
ここでの「国民皆保険制度」とは、すべての国民が公的医療保険に加入し、お互いの保険料で医療費を支え合う仕組みを指します。編集者の視点から言えば、私たちはこの「当たり前」の価値を再認識すべきです。利便性を享受するだけでなく、制度を次世代へ繋ぐために、痛みを伴う改革や長期的な視点での議論を避けては通れない時期に来ています。
活気に満ちた社会を存続させるためには、優れた新薬や最新の治療法が、経済的な理由で閉ざされることなく、広く国民に届けられる環境が不可欠です。2019年12月09日の今日、中山譲治氏が提唱するように、恩恵を享受し続けられる持続可能な制度設計を真剣に考えることが、私たち一人ひとりに求められているのではないでしょうか。
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