長らく「停滞」という言葉が影を落としていた関西経済ですが、今まさに劇的な反転攻勢の瞬間を迎えています。アジア太平洋研究所の研究統括、稲田義久氏は、今後の関西を支える双璧として「電子部品の輸出」と、訪日外国人による「サービスの輸出(インバウンド)」を挙げました。特にインバウンド消費は、世界情勢に左右されやすい製造業に比べて安定感があり、将来的な成長の柱として大きな期待が寄せられています。
これまでの関西は、豊かなポテンシャルを秘めながらも、それを実力として発揮しきれない「長期低落の坂」を下るような厳しい時代を過ごしてきました。経済の活性化には、需要が投資を呼び込み、それが供給力や「潜在成長率(国や地域が持つ本来の経済成長の力)」を押し上げるという好循環が不可欠です。しかし、2019年12月11日現在の視点で見れば、ついにその上り坂への転換点が見えてきたといえるでしょう。
万博誘致成功がもたらした歴史的転換点
関西経済が再び輝きを取り戻す決定的なきっかけとなったのは、2018年11月に決定した「2025年大阪・関西万博」の誘致成功です。この吉報を境に、夢洲(ゆめしま)を中心としたベイエリアの再開発やインフラ整備が猛烈な勢いで動き出しました。2019年6月に開催されたG20サミットは、いわば関西復活に向けた世界への宣誓であり、反撃のキックオフミーティングだったと位置づけられます。
SNS上でも「大阪がどんどん変わっていくのが目に見えてわかる」「万博に向けて街が活気づくのはワクワクする」といった、変化を肌で感じる声が数多く上がっています。世界的な知名度の向上に伴い、ホテルの建設ラッシュも加速しました。これまで東京や横浜に対して後塵を拝していた国際会議の開催機能についても、IR(統合型リゾート)の整備によってアジア屈指の競争力を手に入れる準備が整いつつあります。
IRは単なるカジノ施設ではなく、国際会議場や宿泊施設を併設した巨大な複合拠点であり、海外からの巨額投資を呼び込む「起爆剤」として期待されています。私は、このプロジェクトこそが関西を「日本の一地方」から「アジアのハブ」へと押し上げる鍵になると確信しています。特定の施設に頼るのではなく、地域全体の魅力を底上げするダイナミックな発想が、今の関西には満ち溢れているからです。
持続可能な成長への3つの課題と技術革新
ただし、バラ色の未来を手にするためには乗り越えるべき壁も存在します。稲田氏は、歴史と文化に裏打ちされた関西ブランドの維持、大阪や京都への観光客の一極集中の緩和、そして需要を支える「イノベーション(技術革新)」の創出という3つの課題を提示しました。特に関西広域を巡る「周遊化」が進めば、周辺地域の経済も潤い、真の地域活性化が実現するはずです。
決済のキャッシュレス化やAIによる多言語対応など、観光客のストレスを無くす技術開発は、まさに万博やインバウンド需要が追い風となって加速するでしょう。こうした最先端技術を柔軟に取り入れることで、関西の都市競争力は飛躍的に高まります。過去の成功体験に縛られず、新しいシステムを貪欲に吸収しようとする今の姿勢こそ、関西経済が再び世界の主役に躍り出るための絶対条件なのです。
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