スウェーデンの通信機器大手エリクソンが、2019年11月に発表した「モビリティー・リポート」の最新版によれば、次世代通信規格「5G」の波がいよいよ本格化します。2025年12月31日までに、世界の5G契約数は26億件に達する見込みです。これは、現在の携帯契約数全体の約3割を占める計算となります。
驚くべきは、その成長スピードでしょう。2019年12月31日時点での世界シェアは約1300万件に過ぎませんが、わずか数年でその200倍という驚異的な飛躍を遂げる予測です。SNSでも「ついに映画が数秒で終わる時代か」「VR体験がどう変わるのか楽しみ」といった、期待感に満ちた声が数多く寄せられています。
北米が牽引する5Gシフトと日本の現在地
地域別で見ると、北米の勢いが際立っています。2025年12月31日時点で、北米の携帯契約者の74%が5Gを利用すると推計されており、世界で最も普及が進むエリアになるでしょう。これは、ベライゾン・コミュニケーションズなどの大手キャリアが、世界に先駆けて商用化を推し進めている背景があるからです。
一方、日本を含む北東アジアはどうでしょうか。日本では2020年春から大手キャリア3社によるサービス開始が予定されています。2025年12月31日時点での普及率は56%に留まると予測されていますが、それでも過半数の人々が日常的に「超高速・低遅延」の恩恵を受ける生活が実現するはずです。
5Gとは、現行の4Gに比べて通信速度が最大で100倍にもなる技術を指します。大容量のデータを瞬時にやり取りできるため、4Kや8Kといった高精細な動画視聴もストレスフリーになります。これまでの「動画が止まる」という悩みは、もはや過去の遺物となるに違いありません。
エンタメから産業革命へ!生活を根本から変える力
エリクソンは、将来的に携帯通信量の約76%が動画になると分析しています。しかし、5Gの真価は娯楽だけではありません。「IoT(モノのインターネット)」の進化により、あらゆるデバイスがネットに繋がることで、自動運転や遠隔医療といった次世代技術の基盤となることが期待されているのです。
製造業の現場でも大きな変革が始まっています。2019年9月24日には、ファナックや日立製作所、NTTドコモが5Gを活用した工場高度化の検討を発表しました。配線のないスマート工場や、遠隔地からの精密な操作指示が可能になれば、ものづくりの概念そのものがアップデートされるでしょう。
個人的には、このインフラ整備が経済成長の起爆剤になると確信しています。特にインドのような新興国で4G・5Gが普及することは、教育やビジネスの機会を爆発的に広げるはずです。端末価格の下落が進めば、2020年以降は誰もがこの恩恵を享受できる素晴らしい時代がやってくるでしょう。
安全保障と国際情勢の複雑なハードル
ただ、バラ色の未来ばかりではありません。膨大なデータが流れる5Gネットワークにおいて、セキュリティの確保は最優先事項です。現在、米国は安全保障上の懸念から中国のファーウェイ製品排除を同盟国に求めており、米中貿易摩擦の火種は通信分野にも色濃く影を落としています。
欧州ではすでにファーウェイ製品を採用してサービスを開始している国もあり、対応は分かれています。排除による整備の遅れを懸念する声も根強く、技術の進歩が政治的な対立に翻弄される側面は否定できません。私たちは、技術の利便性を享受しつつ、その背後にあるリスクにも目を向ける必要があります。
コメント