2019年12月02日、教育現場から衝撃的な提言がなされました。かつて「底辺校」という言葉で片付けられていた学校がいま、多様な課題を抱える「教育困難校」へと変貌を遂げているのです。元公立高校教員で教育ジャーナリストの朝比奈なを氏は、現代の高校格差が生む深刻な事態に警鐘を鳴らしています。
現在の日本では、中学卒業生の98.8%が高校へ進学します。ほぼ全員が通う場所でありながら、そこには入試偏差値による厳格なピラミッドが存在します。特にその下位に位置する学校では、義務教育の内容を半分も理解できていない生徒や、学習への意欲を失った子供たちが集まる「教育困難校」という状態に陥っているのが実情です。
SNSでは「自己責任だ」という冷ややかな声がある一方、「家庭環境で人生が決まるのは不公平だ」という切実な意見も飛び交っています。実際、朝比奈氏は生徒たちを5つのタイプに分類しています。まずは、かつての反抗的な態度から無関心へと変化した「ヤンキー」タイプ。そして、学習能力や対人関係に不安を抱えるタイプです。
さらに、不登校を経験した子供たちや、外国にルーツを持つ生徒、そして志望校に落ちて自信を喪失した「不本意入学」組が続きます。これらの背景には、家庭の経済力と学力が比例する「教育格差」が色濃く影を落としています。塾や習い事といった学校外での経験の差が、子供たちの将来を左右してしまっているのです。
発達障害への理解と急増する不登校生への対応
近年、特に注目されているのが「発達障害」や「学習障害(LD)」への対応です。学習障害とは、知的な遅れはないものの「読む・書く・計算する」といった特定の能力に困難が生じる状態を指します。周囲の大人が正しい知識を持ち、早期に気づいて適切な「療育(障害のある子の自立を助ける支援)」を行う必要があります。
しかし、適切なサポートを受けられないまま高校へ進学し、授業についていけず立ち往生するケースが後を絶ちません。また、2018年度の調査では、中学生の長期欠席者が約15万人にも上り、全生徒の4.8%に達しています。不登校を経験した生徒を受け入れる高校は増えていますが、学力の遅れを取り戻すのは容易ではありません。
私は、教育困難校こそ「最も手厚い支援が必要な場所」であるべきだと確信しています。進学校に比べて圧倒的に手間も時間もかかる指導が求められるのに、現状の教員配置ルールでは圧倒的に人手が足りません。これは学校だけの問題ではなく、日本社会全体が向き合うべき、未来への投資不足ではないでしょうか。
教育困難校の生徒たちの多くは、卒業後に建設業や製造業、サービス業に就き、社会の基盤を支える存在となります。彼らが在学中にしっかりと能力を伸ばし、自立することは、将来的な社会保障費の抑制にもつながります。社会の無関心という最大の壁を崩し、人的・資金的なリソースを集中投下すべき時期に来ています。
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