北海道の室蘭工業大学とNTT西日本は、2019年12月02日、個人の学歴や学位の正当性を「ブロックチェーン」という革新的な技術を用いて証明する共同研究を開始すると発表しました。昨今、社会問題にもなっている学歴詐称を技術の力で未然に防ぎ、学術情報の信頼性を飛躍的に高めることが狙いです。
このニュースに対し、SNS上では「ついに日本でも始まったか」「卒業証書の電子化は便利そう」といった期待の声が上がる一方で、「プライバシーは守られるのか」という慎重な意見も散見されます。しかし、情報の流出リスクを抑えつつ、書き換え不可能なデータを構築できるこの試みは、デジタル時代の新たなスタンダードになるでしょう。
ここで鍵となる「ブロックチェーン」とは、ネットワーク上の複数の端末で記録を分散して共有し、互いに監視し合うことでデータの正確性を担保する仕組みのことです。データが鎖のように繋がって蓄積されるため、後からの改ざんが事実上不可能であり、従来の中央集権的な管理システムよりも圧倒的に高い真正性を証明できるのが特徴です。
コンビニ発行との連携で利便性も追求
今回のプロジェクトには、札幌市のシステム開発会社であるバーナードソフトも協力体制を敷いています。すでにNTT西日本が展開している「証明書のコンビニ発行サービス」と連携させることで、学生や卒業生は必要な時にいつでも、偽造不可能な学位証明を手に入れられるようになります。
世界に目を向けると、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)などが先行して導入していますが、日本国内の大学としては室蘭工業大学が初の事例となります。2019年度内には同大学での実装を完了させ、2020年度からはさらに5校程度の大学へこのネットワークを広げていく計画が立てられています。
個人的な見解を述べれば、この技術の真価は単なる「不正防止」に留まりません。大学の再編や転職の一般化、さらには社会人の学び直しである「リカレント教育」が普及する中で、個人の経歴を客観的かつ簡便に証明できる手段は、労働市場の流動性を高めるための必須インフラになると確信しています。
研究を主導する岸上順一教授は、将来的に学位だけでなく職歴や公的資格までを統合管理できる社会を見据えています。2020年以降、自分のキャリアを「自分自身で」安全に持ち運び、提示できる時代がやってくるはずです。教育とテクノロジーが融合するこの挑戦が、日本の信頼社会を底上げする一歩となるでしょう。
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