古都の冬に華やぎを添える「吉例顔見世興行」が、2019年12月の京都南座で幕を開けました。この興行は、江戸時代から続く伝統的な行事で、役者たちが一堂に会する歌舞伎界の「顔合わせ」としての意味を持っています。会場周辺には役者の名前が書かれた「まねき看板」が並び、師走の風情を存分に感じさせてくれますね。
2019年12月13日現在、南座の舞台ではベテランから若手までが火花を散らす、非常に密度の高い舞台が繰り広げられています。特に昼の部は、人形浄瑠璃を元にした「丸本時代物」と呼ばれる重厚な演目が並び、観客を圧倒する迫力に満ちているのです。歴史の重みを感じさせる演出の数々は、まさに歌舞伎の真髄を伝えていると言えるでしょう。
受け継がれる矜持と、新星の誕生に沸く客席
「輝虎配膳」でひときわ光を放つのは、越路を演じる片岡秀太郎さんです。武家の老女としての気高さと、その裏に隠された申し訳なさという複雑な本心を、見事な安定感で表現されています。これぞ熟練の技と言える盤石な演技は、観る者の心を深く揺さぶります。武家社会の厳しさと、その中で揺れ動く人間の情愛が見事に描き出されているのです。
また、今回の興行で見逃せないのが、梅丸改め中村莟玉さんの襲名披露が行われている「戻駕色相肩」です。可憐な美しさと若々しいエネルギーに満ちた彼の門出は、SNS上でも「あまりの輝きに目が離せない」「これからの歌舞伎界を背負って立つ存在」と、大きな期待と祝福の声で溢れかえっています。新時代のスター誕生を予感させる瞬間ですね。
編集者の私としては、こうした伝統の継承と新しい息吹が共存する姿に、歌舞伎という文化の底知れぬ生命力を感じずにはいられません。片岡仁左衛門さんによる絶妙な緩急のついた演技は、一瞬の静寂さえも芸術に変えてしまう力があります。時代を超えて愛される理由が、この南座の舞台には凝縮されているのです。ぜひ劇場でその奇跡を体感してください。
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