2019年12月14日現在、大規模災害が発生した際の「帰宅困難者」への対応が、都市部の大きな課題として立ちはだかっています。2011年3月11日の東日本大震災では、東京都内だけで約352万人もの人々が足止めを食らいました。この教訓を胸に、現在では官民一体となった対策が加速しています。
そんな中、2019年11月18日に注目すべき動きがありました。NTT都市開発ビルサービスが東京都千代田区と協定を締結し、大規模オフィスビル「大手町プレイス」を一時滞在施設として開放することを決めたのです。このビルでは最大3000人の受け入れが可能で、地下から地上にかけての広大なスペースが避難者に提供される見込みです。
備えはハード面だけではありません。倉庫には3日分の食料や簡易トイレ、毛布、さらにはおむつまでが整然と並び、断水時に威力を発揮する防災井戸も完備されています。同社は「地元企業としての役割を果たしたい」と語っており、運営マニュアルのブラッシュアップも欠かさない姿勢には、地域を守るという強い覚悟が感じられますね。
SNS上ではこうした企業の取り組みに対し、「心強い」「自分のオフィスビルはどうなっているのか」といった関心の声が上がっています。しかし、東京都全体を見渡すと、首都直下地震の際には約517万人の帰宅困難者が発生すると予測されており、自社に留まれない出張者などの「行き場のない人」だけでも92万人に上る見通しです。
現状、これらの方々を受け入れる施設は2019年4月時点で37万人分に留まり、必要数の4割程度しか確保できていません。東京都は備蓄品の助成などで民間を支援していますが、多くの企業が受け入れを躊躇する最大の要因は、万が一の際の「法的責任」にあります。
東京商工会議所が2019年5月に実施した調査では、過半数の企業が受け入れは難しいと回答しました。もし余震などで避難者が怪我をした場合、施設側が損害賠償を請求されるリスクを恐れているのです。善意で場所を貸した側が責任を問われるかもしれないという現状は、あまりに酷な話ではないでしょうか。
国は民法上の観点から「一律の免責」には慎重な姿勢を崩していませんが、私は民間企業の協力なくして都市防災は成立しないと考えます。自治体と企業の対話はもちろん、専門家が提唱するように、避難時に免責事項へ合意する仕組みや、保険制度の活用を早急に具体化すべき時期に来ているはずです。
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