2019年12月06日、中国で世界初となる法定デジタル通貨の発行への期待が高まる中、その熱狂を逆手に取った悪質な詐欺が横行しています。中国の中央銀行である中国人民銀行は、いまだデジタル通貨を発行していないという異例の公告を発表し、注意を呼びかけました。
現在、注目を集めているのは「DCEP(Digital Currency Electronic Payment)」と呼ばれる決済システムです。これは既存の現金と同等の価値を持つデジタル通貨を指しますが、この名称を悪用して「先行上場した」と嘘の宣伝を行う取引所が相次いで現れました。
SNS上では「ついにデジタル人民元に投資できるチャンスが来た」と喜ぶ声がある一方で、速やかに当局に摘発された偽アプリの存在に「また騙されるところだった」と安堵する投稿も散見されます。期待が先行しすぎるあまり、人々の冷静な判断が失われているようです。
そもそもDCEPとは、銀行口座を持たない層でもスマートフォンさえあれば公的な通貨を使えるようにする画期的な仕組みです。しかし、仮想通貨交換業者のRosexなどが勝手にこの名前を掲げて取引を開始したことで、多くの投資家が混乱に陥ってしまいました。
繰り返される投機の狂奔と中国金融の課題
中国ではこれまでも、株式バブルやネット金融、そして仮想通貨ブームが起きては崩壊するというサイクルが繰り返されてきました。今回のデジタル人民元を巡る騒動も、まさにその歴史が形を変えて再現されたものだと言えるのではないでしょうか。
私は、この問題の根底には中国当局による金融教育の不足があると考えています。個人の資産が海外へ流出することを極端に恐れるあまり、投資に関する正しい知識を国民に提供してこなかったツケが、このような「ネズミ講」まがいの詐欺を許す土壌を作ったのです。
デジタル通貨という最先端の技術が、皮肉にも人々を惑わす道具となってしまっている現状は非常に残念です。革新的なシステムを導入する前に、まずは国民がリスクを正しく理解できるようなリテラシーの向上が、当局には何よりも求められているはずです。
今後もデジタル人民元の本格運用に向けて注目が集まるでしょうが、甘い言葉に誘われて偽物に手を出さないよう、私たちは細心の注意を払わなければなりません。当局による摘発が続く今、冷静に公式発表を待つ姿勢こそが最大の防衛策となるでしょう。
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