私たちの生活に欠かせないスマートフォンや電気自動車の心臓部であるリチウムイオン電池に、驚くべき技術革新がもたらされました。2019年12月05日、山形大学は過酷な環境下でも安定して動作する、極めて耐熱性の高い電池部材を開発したと発表しています。
今回のプロジェクトは山形大学の森下正典・産学連携准教授が中心となり、日本バイリーンおよび大阪ソーダの2社と手を取り合った産学連携の賜物です。開発されたのは、電池の内部でプラスとマイナスの電極を隔てる「セパレーター」と呼ばれる重要な絶縁材料となります。
SNS上では「夏場の車内放置やドローンの過熱問題が解決するかもしれない」といった期待の声が上がっており、実用化への関心が非常に高まっています。従来、この部材にはレジ袋と同じ素材のポリオレフィンが使われており、熱に弱いという大きな課題を抱えていました。
セ氏150度の熱に耐える!驚異の新素材が秘める可能性
これまでの一般的な電池は、周囲の温度がセ氏80度程度になると部材が変形し始め、内部でショート(短絡)を起こして発火する危険性がありました。しかし、新たに開発された素材はなんとセ氏150度の高温下でも形状を維持し、正常に使用することが可能だといいます。
この技術の鍵を握るのは、日本バイリーンが提供する耐熱性不織布と、大阪ソーダが誇る特殊なポリマーゴムの組み合わせです。不織布は熱には強いものの、繊維の隙間が多いためショートしやすい欠点がありましたが、そこを特殊ゴムでコーティングすることで克服しました。
私は今回の発表を聞き、大学が異なる強みを持つ企業同士を繋いだコーディネート力の高さに感銘を受けました。全く接点のなかった企業が「知」の拠点を介して出会い、世界を変えるようなイノベーションを創出する姿こそ、日本の製造業が進むべき理想の形でしょう。
今後は、高い負荷がかかるドローン用の電池としてまず試作を行い、将来的には自動車のエンジン周辺といった過酷な場所への搭載を目指す方針です。2年以内の実用化が予定されており、エネルギーデバイスの配置自由度が劇的に広がる未来がすぐそこまで来ています。
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