【日本ガイシ・森村グループ】140年の伝統と最新セラミックス技術が切り拓く次世代電池の未来

愛知県を中心とする中部地方は、古くから陶磁器の生産で知られています。この豊かな土壌が育んだ技術は、日本を代表する企業集団「森村グループ」を生み出しました。彼らは今、140年以上の歴史で培ったセラミックス技術を武器に、新たな領域へと果敢に挑戦しているのです。

2019年7月末、日本ガイシの名古屋本社では、大島卓社長が新規事業について熱心に議論を交わしていました。2020年度中の事業化を目指す「亜鉛2次電池」の進捗会議です。社長自らが細部まで確認する姿からは、この新製品にかける強い意気込みが伝わってくるでしょう。

この亜鉛2次電池は、電解液に水溶液を使うため発火の危険性が極めて低く、非常に安全性が高いのが特徴です。SNS上でも「安全な蓄電池なら、早く自宅にも置きたい」「防災対策にぴったり」といった期待の声が多数寄せられています。屋内での利用に最適な、まさに次世代のエネルギー源と言えます。

しかし、亜鉛を用いた電池は、繰り返し充電すると内部でショートを起こしやすいという致命的な弱点がありました。そこで活躍したのが、日本ガイシの強みであるセラミックス技術です。セラミックスとは、陶磁器のように熱に強く丈夫な無機の素材を指します。

正極と負極が直接触れ合わないように隔てる壁の役割を持つ「セパレーター」という重要部品に、この特殊なセラミックスを用いることで長年の課題を克服しました。2016年から全社を挙げたプロジェクトとして開発が進められ、早期に数百億円規模の事業へと成長させようと、社内は活気に満ち溢れています。

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受け継がれる「一業一社」の精神と未来への挑戦

日本ガイシは2019年、創立100周年という記念すべき節目を迎えました。そのルーツは、1904年に設立された洋食器メーカーの日本陶器(現在のノリタケカンパニーリミテド)に遡ります。社会の要望に応え、送電線を支える絶縁体である「がいし」を作るために1919年に独立したのが始まりなのです。

かつては売り上げのほとんどを「がいし」に頼っていましたが、1961年に新規事業の開拓へ大きく舵を切りました。現在では、自動車や半導体分野など多岐にわたる事業を展開し、がいしの売り上げは全体の1割に過ぎません。変化を恐れず進化を続ける姿勢こそが、成長の原動力となっています。

森村グループは「一業一社」というユニークな方針を貫いています。ノリタケから始まり、衛生陶器のTOTO、自動車部品の日本特殊陶業、そして日本ガイシと、新しい事業が育つたびに別会社として独立させてきました。資本関係は薄いものの、経営トップ同士の深い絆で結ばれているのが特徴でしょう。

そして2019年12月、この4社が共同で新たな会社を設立し、次世代技術である「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」の事業を本格的にスタートさせます。SOFCとは、水素と酸素を反応させて電気を作る、環境に優しく非常に効率の良い発電システムのことです。

各社が持つ技術やノウハウを結集し、早期の商品化を目指すこの動きには、日本のモノづくり企業の底力と確かな未来を感じずにはいられません。グループ4社の売上高を合わせると約1兆6000億円にも上り、同業の巨大企業にも肉薄するほどの圧倒的な規模を誇っています。

私は、ひとつの技術を徹底的に磨き上げながらも、常に時代に合わせて変化を求める彼らの姿勢に強く感銘を受けました。持続可能な社会の実現に向けて、森村グループが生み出す革新的な電池技術は、間違いなくこれからの私たちの生活を支える重要な鍵となるはずです。

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