スマホ革命の真実!シュンペーターが解き明かす「新結合」と格差を超えた豊かさの正体

私たちの日常に完全に溶け込んだスマートフォンですが、これが単なる便利な道具以上の意味を持つことを意識したことはあるでしょうか。小林大州介氏の著書『スマートフォンは誰を豊かにしたのか』は、経済学の巨人シュンペーターの視点から、この手のひらサイズの革命を鋭く分析しています。SNSでは「iPhone以前の生活を思い出せない」といった声が多く聞かれますが、本書はまさにその劇的な変化の正体を解き明かす一冊なのです。

シュンペーターが提唱した「イノベーション」の本質とは、何もない場所から魔法のように新製品を生み出すことではありません。既存の技術やアイデアを全く新しい形で組み合わせる「新結合(しんけつごう)」こそが、資本主義を動かす真の原動力なのです。専門用語で少し難しく聞こえますが、これはバラバラだった要素をくっつけて新しい価値を生む「知の化学反応」と考えると分かりやすいでしょう。

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ジョブズという「企業者」が起こした魔法の正体

2019年12月07日現在、私たちはアップルのスティーブ・ジョブズ氏のような存在を「天才」と呼びますが、シュンペーターの定義では彼は究極の「企業者(アントレプレナー)」です。iPhoneを例に挙げれば、既存の携帯電話にデジタル技術とインターネットを「新結合」させ、全く新しい用途を見出したに過ぎません。しかし、この一歩が世界のライフスタイルを根本から書き換え、凄まじい経済発展を引き起こした事実は否定できないでしょう。

ここで注目すべきは、イノベーションは決して孤独な天才だけの特権ではないという点です。シュンペーターは、一人の先駆者に続いて多くの「追随者(フォロワー)」が群がる「群生化」という現象を指摘しました。現在、多くの企業がスマートフォンの可能性を広げている状況は、まさにこの理論通りだと言えます。後を追う企業が市場をさらに拡大させることで、技術はより洗練され、私たちの暮らしに浸透していくのです。

不況こそがチャンス?構造転換の先に待つ未来

景気が冷え込む時期、私たちは不安を感じがちですが、本書が提示する視点は非常にポジティブです。シュンペーター流に考えれば、不況とは古い産業が新しい産業へと入れ替わる際に生じる「摩擦」のようなものです。2019年12月07日の日本経済を取り巻く厳しい状況も、水面下で次なるイノベーションが準備されている絶好の機会かもしれません。衰退を恐れるのではなく、構造が変わるサインとして捉える勇気が求められています。

GAFA(ガーファ:Google、Apple、Facebook、Amazonの4社)に代表される巨大企業が市場を独占し、経済的格差を生んでいる現状は確かに課題です。しかし、その一方で誰でもアプリを開発し、世界に向けて発信できるオープンな市場が提供されていることもまた事実でしょう。私は、この「格差」という痛みを伴いながらも、情報通信技術(ICT)が人類全体の知恵を底上げしている側面を、もっと評価すべきだと強く感じます。

単なる技術論に留まらず、格差や独占といった現代の病理をも包括的に論じる本書の視点は、これからの経営戦略を練る上で極めて有効なヒントになります。イノベーションの荒波を乗りこなすための指針として、多くのビジネスパーソンに手に取ってほしい珠玉の内容です。現代の私たちは、技術の進歩にただ身を任せるのではなく、自らが「新結合」の担い手となる可能性を常に探るべきではないでしょうか。

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