わらしべ長者が描く中古衣料の未来図!ベクトル村川智博社長が仕掛ける「物々交換」の流通革命

「趣味が高じてビジネスになる」という言葉を、これほどまでに体現している人物は珍しいでしょう。岡山市に本社を置く株式会社ベクトルを率いる村川智博社長は、幼少期から漫画やスニーカーの物々交換に明け暮れた経験を持つ、まさに生粋の「わらしべ起業家」です。彼のビジネスの原点は、20歳で構えた小さなお店でした。スポーツジムでのアルバイト中、彼が履いていた「エア・ジョーダン」が偶然居酒屋店主の目に留まり、その縁で店舗スペースを譲り受けたのが1997年の出来事です。

当時の村川氏は、スニーカーのコレクションが2000足を超えるほどの熱狂的なコレクターでした。当初は看板すら出さず、店名も決まっていないという、型破りなスタートを切ったそうです。SNS上では、この驚異的な行動力に対して「好きなことを極めて仕事にする究極の形だ」といった驚きと共感の声が多く寄せられています。しかし、順風満帆に見える裏側では、社員の士気向上に悩むなどの苦い経験もあり、自らの姿勢を正して事業へ真剣に向き合う決意を固めた時期もありました。

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ITを武器にした「ベクトル流」の在庫戦略

村川社長の卓越したセンスは、インターネットの普及と共にさらに開花しました。いち早くネットオークションやECモールへ進出し、2005年には在庫をリアルタイムで共有する画期的なシステムを構築したのです。さらに2013年には、複数の販売チャネルを一度に管理できる「マルチチャネル出品システム」を自社開発しました。これにより、店舗とネットの在庫を一括で制御するという、当時としては極めて先進的な「OMO(オンラインとオフラインの融合)」を実現させた点は特筆に値します。

現場主義を貫く彼は、店頭でのお客様との対話を何よりも大切にしています。「リサイクル」という言葉を強調するよりも、気軽な「下取り」として提案する方が、より多くの品物が集まるという独自の消費心理を導き出しました。こうした現場での鋭い観察眼が、ベクトルの強固な基盤を作り上げているのでしょう。私自身の見解としても、単なる安売りではなく、消費者の生活動線に自然に入り込む「ついで買い」の提案は、非常に洗練されたマーケティング手法であると感じます。

変化する市場と「物々交換」が実現する新時代

直近の3年間では、高価格帯から低価格帯まで全てを自社で扱う戦略に挑みましたが、村川社長は「低価格帯は失敗だった」と潔く認めました。1500円前後の商品に強いフリマアプリ「メルカリ」の台頭を分析し、自社の得意分野を見極めた上での迅速な軌道修正です。現在は、低価格品を得意とする他社との分業体制を整えるという、新たなビジネスモデルの構築を急いでいます。自らの失敗を糧に、さらなる飛躍を目指す姿には、経営者としての強い覚悟が滲み出ています。

村川社長は、将来的に「代金の代わりに中古品で支払う物々交換の時代」が再来すると確信しています。そのためには中古市場の相場を確立し、円滑な取引システムを作ることが不可欠だと語ります。2019年4月期の売上高は47億円を超え、成長を続けるベクトルですが、社長自身は「常識が毎年変わる時代こそがライバル」と気を引き締めます。月の半分を東京のホテルで過ごし、各地を飛び回る多忙な日々の中、時代の潮目を読み解く村川氏の挑戦から目が離せません。

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