2019年12月3日、ファーストリテイリングは国内ユニクロ事業における11月の販売実績を公表しました。既存店とeコマースを合わせた売上高は、前年の同じ時期と比較して5.5%減少するという厳しい結果となっています。これでマイナス成長は3カ月連続となり、盤石なブランド力を誇るユニクロであっても、季節の変動という大きな波に苦戦を強いられている様子が伺えるでしょう。
今回の苦戦における最大の要因は、例年に比べて気温が下がらずに推移した「暖冬」の影響にあります。11月といえば、本来であれば厚手のコートや機能性インナーの代名詞であるヒートテック、そしてカシミヤセーターといった比較的高単価な冬物衣料が飛ぶように売れる時期です。しかし、2019年11月は全国的に穏やかな気候が続いたため、消費者の購買意欲が冬モードへ切り替わらなかったことが数字に表れました。
恒例の大型セールも天候には勝てず?消費者のリアルな声
ユニクロは11月に毎年恒例の大型イベント「誕生感謝祭」を開催し、魅力的な価格設定で集客を図りました。しかし、この大規模な販促活動をもってしても、天候による需要の冷え込みを完全にカバーすることは難しかったようです。SNS上では「安くなっているけれど、まだダウンを着るほど寒くない」「インナーを買い足そうと思ったけれど、去年のもので十分間に合ってしまう」といった、リアルなユーザーの困惑する声が散見されました。
ここで注目すべきは「既存店売上高」という指標です。これは、新規開店した店舗の影響を除き、1年以上営業している店舗のみを対象とした売上の推移を指します。いわば、そのブランドの地力や顧客の定着度を測るための純粋な健康診断の結果と言えるでしょう。今回の5.5%減という数字は、既存のファンが「今はまだ買わなくていい」と判断したことを如実に物語っており、改めてアパレル業界の難しさを浮き彫りにしました。
編集者の視点から言わせていただければ、この状況は決してユニクロの製品力が低下したわけではありません。むしろ、機能性の高い冬物が揃っているからこそ、実際に寒くならない限りは購入を先延ばしにするという、現代の消費者の賢くシビアな選択の結果ではないでしょうか。冬が本格化し、気温が一段と下がる12月以降に、どれだけ溜まった需要を爆発させられるかが、今後のV字回復を左右する大きな鍵となるはずです。
コメント