石油化学産業の動向を左右する「エチレン」のアジア市場において、2019年初頭から価格の低迷が続いています。この背景には、生産設備の増強ペースが需要の伸びを上回るという市場の警戒感が根強く存在していることが挙げられるでしょう。2019年9月24日以降、原料となるナフサ(原油を蒸留して得られる粗製ガソリン)の価格が上昇に転じた際も、エチレン価格への転嫁は進まず、上値の重い展開が続いています。
こうした不透明な状況下で、三井化学の基盤素材事業を牽引する吉住文男氏は、今後の需給環境を冷静に分析されています。SNS等のネット上でも「石化製品の供給過剰はいつまで続くのか」「原料高なのに製品価格が上がらないジレンマ」といった、業界関係者や投資家による切実な声が数多く見受けられました。実需の回復と供給サイドの調整が、今後のマーケットの鍵を握ることは間違いありません。
供給過剰の懸念と2020年に向けた需給の転換点
エチレンはプラスチックや合成繊維の最も基本的な原料であり、その市況は世界景気のバロメーターとも言えます。吉住氏は、足元の価格低迷を認めつつも、2020年にかけて需給が引き締まる可能性を示唆されました。現在は新増設ラッシュによる「供給先行」の局面ですが、プラントの稼働状況や定期修理のタイミング次第では、一気に在庫がタイトになる局面も予想されるのではないでしょうか。
個人的な見解としては、中国を中心とした環境規制の強化や、循環型社会(サーキュラーエコノミー)への移行が、エチレンの需要構造にパラダイムシフトをもたらすと考えています。単なる「量」の確保から、高付加価値な素材への転換が求められる中で、日本企業には技術力を活かした差別化戦略が期待されるでしょう。2019年12月18日現在の不透明感を打破し、新たな成長軌道を描けるかどうかが問われています。
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