近年、社会的な関心事が非常に高まっている高齢運転者による交通事故の問題を受け、警察庁の有識者分科会は2019年9月に大規模な意識調査を実施しました。10代から70代までの2,000人を対象に行われたこのアンケートでは、なんと全体の84.8%もの人々が「高齢者の運転は危ない」と感じていることが明らかになったのです。この衝撃的な数字は、現代の日本社会がいかに高齢者ドライバーの安全確保を切実な課題として捉えているかを如実に物語っていると言えるでしょう。
今回の調査結果において特に注目すべきは、免許制度の抜本的な見直しに対して、約8割にのぼる79.7%の人が賛成の意向を示している点です。SNS上でも「毎日のように高齢者の逆走や踏み間違いのニュースを見ていて不安だった」「早く具体的な対策を講じてほしい」といった切実な声が数多く上がっています。多くの国民が現状の制度では不十分だと感じており、より厳格なチェック体制の構築を望んでいることが、今回のデータからも鮮明に浮かび上がってきました。
具体的な改善策として最も支持を集めたのは、運転能力を確認した上で不十分な人の更新を認めないという手法で、66.0%もの人がこれを支持しています。さらに、免許の有効期間を短くする案や、特定の車種や場所に限定して運転を許可する「限定免許」についても、前向きな意見が目立ちました。特筆すべきは、一定の年齢に達した際に一律で免許を失効させる「免許定年制」についても、約4人に1人に相当する27.7%の人が賛成しているという事実です。
しかし、高齢者自身の視点に立つと、状況は一筋縄ではいかない複雑な側面が見えてきます。高齢層のみを対象にした調査では、制度改正への賛成と反対が激しく拮抗しており、世代間での温度差が顕著になりました。地方では車がなければ病院への通院や日々の買い出しさえ困難になるという「生活の足」としての切実な問題があるからです。免許を返納した後の移動手段が確保されない限り、運転を断念させることは生存権に関わるという主張も根強く残っています。
2022年度導入へ!実車試験がもたらす安全への新たな一歩
こうした世論と安全への必要性を受け、警察庁は2022年度にも「実車試験」を導入する方針を固めました。実車試験とは、実際に車を運転してブレーキ操作やハンドルさばきを確認する実技テストのことです。これまでは認知機能検査などが中心でしたが、より実践的な技術を評価することで、身体機能の低下を客観的に判断しようとする試みです。これにより、これまで自覚症状が薄かったドライバーに対しても、納得感のある形での返納を促す効果が期待されています。
私個人の意見としては、この実車試験の導入は避けて通れない極めて重要な進歩だと確信しています。もちろん、生活の不便さを考慮することは大切ですが、人の命は何物にも代えがたいものです。悲惨な事故を防ぐためには、運転能力の欠如を科学的・客観的に証明する仕組みが不可欠でしょう。同時に、自動運転技術が搭載された「サポカー」の普及促進や、公共交通機関に代わる移動支援サービスの充実など、ハードとソフトの両面からのサポートも急務です。
2019年12月19日現在、高齢化社会は加速の一途をたどっています。安全な車社会を維持するためには、制度の厳格化を受け入れる覚悟と、返納後の高齢者を孤立させないための地域社会の優しさがセットで必要になるはずです。実車試験の導入が、ただの制限に終わることなく、高齢者が尊厳を持って安全に暮らせる未来への第一歩となることを切に願っています。今後の具体的な試験内容や、合格基準の策定に関する議論からも、私たちは目を離してはいけません。
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