日本の住宅市場が縮小傾向にある中、住友林業が海の向こう側で力強い躍進を遂げています。米国市場において戸建てハウスメーカーとしてトップ10にまで上り詰めた同社は、さらなる成長の舵を切りました。2019年12月19日、同社が米国ノースカロライナ州のシャーロットで手掛けていた大型複合施設「クレセント・アサートン・ミル」が完成の時を迎えようとしています。これは単なる建物の完成ではなく、住友林業が米国で本格的に商業施設や賃貸住宅事業へ進出する象徴的な一歩となるでしょう。
今回のプロジェクトの鍵を握るのは、2018年に約434億円を投じて買収した現地の開発会社、クレセント・コミュニティーズです。SNS上でも「国内のイメージが強い住友林業が、ここまで大胆に米国投資を加速させているとは驚きだ」といった驚きの声が上がっています。景気変動の波を受けやすい分譲住宅一本足打法から脱却し、不況下でも需要が見込める賃貸や商業施設を組み合わせることで、強固な事業ポートフォリオを構築する狙いです。投資家たちも、この「攻め」の姿勢に高い関心を寄せています。
収益の過半を海外で稼ぎ出す!野心的な中期経営計画の全貌
住友林業が描く未来図は、非常にダイナミックです。2022年3月期までの中期経営計画では、海外事業の経常利益を472億円まで引き上げる目標を掲げました。これは今期の予想を約7割も上回る数字であり、達成すればグループ全体の利益の半分以上を海外で稼ぎ出すことになります。現在の米国市場は、FRB(連邦準備理事会)による利下げの影響で住宅ローン金利が低下しており、追い風が吹いている状態です。2020年3月期の建築戸数も前期比12%増という強気の予測を立てています。
ここで「経常利益」という言葉が出てきましたが、これは企業が通常の事業活動で得た利益から、本業以外で発生する利息の支払いなどを差し引き、会社の実力を総合的に表す指標のことです。住友林業はこの指標を海外で劇的に伸ばすことで、名実ともにグローバル企業への脱皮を図ろうとしています。特に人口増加が著しい米国南部をターゲットにした買収戦略は、専門家からも「成長エリアを的確に射抜いている」と高く評価されており、同社の先見の明が光るポイントと言えるでしょう。
市場が期待する「シナジー効果」と今後の株価の行方
絶好調に見える同社ですが、課題も残されています。株価は2019年12月13日に年初来高値の1673円を記録しましたが、PBR(株価純資産倍率)は依然として競合他社を下回る水準です。PBRとは「株価がその会社の資産価値に対して割安か割高か」を判断する指標で、1倍を切る現状は、市場からまだ十分な評価を得られていない証拠でもあります。積極的な買収による負債の増加を懸念する声もあり、単なる規模の拡大以上の「相乗効果(シナジー)」が求められています。
私は、住友林業が持つ日本独自の「木の技術」や「高品質な施工管理」を、いかに現地の買収先と融合させるかが、真のグローバル企業になれるかどうかの分水嶺になると考えます。現在は買収先の自主性を尊重していますが、建材の共同購入やブランドの一体化といった具体的な成果が見えてくれば、株価もかつての2000円台を奪還できるはずです。日本の伝統と米国の成長力が手を取り合う未来を、市場は熱い視線で見守っています。今後のさらなる化学反応に期待が隠せません。
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