新しい時代の足音が聞こえてくる2019年12月20日、芸術の秋を越えてさらに深まる「冬のアートシーン」が熱を帯びています。SNSでは「年末年始のお出かけに迷う」「静かな美術館で自分と向き合いたい」といった声が溢れており、感性を刺激する展覧会への関心が高まっているようです。
今、最も注目すべきは東京ステーションギャラリーで開催中の「坂田一男 捲土重来」でしょう。1920年代から1930年代にかけてパリで活動した前衛画家、坂田一男の軌跡を辿るこの展示は、2020年1月26日まで楽しめます。岡山県立美術館が所蔵する「キュビズム的人物像」など、国内外の作品約200点が集結する圧巻のボリュームです。
ここで語られる「キュビズム」とは、対象を一つの視点から描くのではなく、様々な角度から見た形を一つの画面に再構成する画期的な技法を指します。坂田が挑んだ複雑な空間性を、他の抽象絵画と比較しながら考察できる貴重な機会となるはずです。歴史ある駅舎の美術館で、時空を超えた表現の深淵に触れてみてはいかがでしょうか。
伝統の美と現代のデザインが交差する瞬間
世田谷の五島美術館では、2020年2月16日まで「茶道具取合わせ展」が開催されています。安土桃山時代や中国・明代の名品など、約70点の茶道具が静かに来場者を迎えてくれます。特筆すべきは、原寸大模型で再現された茶室の床の間です。当時の人々がどのような空間で茶の湯を楽しんだのか、その空気感を肌で感じられるでしょう。
また、現代のデザイン界からは「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が東京都現代美術館に登場しています。こちらも2020年2月16日までの会期です。ブランドの核となるテキスタイル(織物や布地)の原画から家具に至るまで、皆川明氏の哲学が詰め込まれています。単なるファッションの枠を超え、私たちの生活に寄り添うデザインの真髄が見えてくるはずです。
ネット上でも「ミナの世界観に癒やされた」「テキスタイルの細かな仕事に感動した」といった反響が寄せられています。日常を彩る美しさの源泉に触れることで、新しい一年を迎えるための柔らかな活力が得られるに違いありません。
地域と社会を繋ぐアートの力
群馬のアーツ前橋では、2020年1月13日まで「表現の生態系」が開催されています。ここでは福祉や医療、教育といった異なる分野とアートが交差し、31組の作家が社会の「生」を問い直します。芸術が単なる鑑賞物ではなく、社会の分断を埋める装置として機能する様子は、現代を生きる私たちに強いメッセージを投げかけてくれます。
さらに伊豆半島に目を向けると、上原美術館にて「伊豆をめぐる名画」が2020年1月13日まで公開中です。横山大観や安田靫彦といった巨匠たちが描いた伊豆の風景は、まさに心の原風景と呼ぶにふさわしい美しさです。自然豊かな伊豆の地で、名画の中に息づく人々の生活や四季の移ろいに思いを馳せる時間は、この上ない贅沢と言えるでしょう。
最後に、2020年2月14日には有楽町で「第24回菜の花忌シンポジウム」が開催されます。司馬遼太郎氏を偲ぶこの会では、映画監督の小泉堯史氏や作家の黒川博行氏らが『燃えよ剣』などを題材に熱い討議を繰り広げます。私は、こうした文学や歴史を語り継ぐ場こそが、現代の多様な表現を支える土壌になると確信しています。
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