2019年12月20日、気候変動対策を巡る国際社会の足並みの乱れが、経済界に大きな不安を投げかけています。スペインのマドリードで2019年12月2日から開催されていた「国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)」は、約2万7000人の代表者が集まり、未来を左右する熱い議論を交わしました。
しかし、期待とは裏腹に、交渉は最後まで平行線を辿ることとなりました。特に「パリ協定」の第6条に規定されている、温室効果ガスの排出量を国や企業間で売買する「市場メカニズム」のルール作りが暗礁に乗り上げています。この決定の先送りは、環境対策を加速させたいと願う世界中の人々から、落胆の声としてSNSでも拡散されています。
サンホセ宣言が示した「妥協なき環境への情熱」
議論が停滞する中で注目を集めたのが、2019年12月14日にコスタリカを中心とする有志国が発表した「サンホセ宣言」です。この宣言には、過去の古い排出枠(クレジット)を将来の目標達成に流用しないことや、削減量を複数の国で二重に計算する「二重カウント」の禁止といった、極めて厳格な条件が盛り込まれました。
EU諸国を含む約30カ国がこの姿勢に賛同し、環境の健全性を守ろうとしましたが、経済的利益を優先する国々との溝は埋まりませんでした。そもそも「排出量取引」とは、森林保護などで削減したCO2を価値ある「枠」として取引する仕組みですが、その計算に不備があれば、地球全体の温暖化防止には繋がりません。
航空業界を直撃するオフセット制度への影響
今回の合意見送りにより、特に深刻な影響が懸念されているのが航空業界です。2021年から本格運用が予定されている「国際民間航空のためのカーボンオフセット及び削減スキーム(CORSIA)」は、COP25で明確な基準が決まることを前提に設計されてきました。これは、飛行機が排出したガスを、他所での削減分で相殺する仕組みです。
編集者の視点から言えば、ルールが定まらない不透明な状況は、企業にとって最大の投資リスクです。航空会社が排出枠を購入しようにも、その「品質」や「有効性」を保証する国際ルールが不在では、実質的な対策が遅れるばかりでしょう。このままでは、「空の脱炭素化」に向けた歩みが足踏みしてしまう可能性を否定できません。
SNSでは「将来へのツケを回しているだけだ」という厳しい批判も目立ちますが、まさに今、私たちは政治の停滞が実体経済を縛る瞬間を目撃しています。2020年という大きな節目を目前に控え、次回の会議では妥協ではない、実効性のあるルール形成が成されることを切に願うばかりです。
コメント