私たちの食卓に欠かせない「お肉」の常識が、今まさに大きな転換期を迎えています。2019年12月20日、国内食肉大手の伊藤ハムが植物肉市場への参入を発表し、業界に激震が走りました。スイスの金融大手UBSの予測によれば、2018年に約5000億円だった世界の植物肉市場は、2030年には9兆円を超える巨大市場へと膨れ上がる見通しです。
この急成長を後押ししているのは、最先端の「フードテック」による劇的な進化に他なりません。フードテックとは、食品(Food)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、科学の力で食の可能性を広げる取り組みを指します。SNSでは「本物のお肉と区別がつかない」「環境に優しくて美味しいなら最高」といったポジティブな声が、流行に敏感な若層を中心に急速に広がっています。
シリコンバレー発!分子レベルで再現される「究極の肉感」
アメリカのロサンゼルスで大行列を作るハンバーガー店「モンティーズ」の秘密は、植物由来100%のパティにあります。これを供給するインポッシブル・フーズは、スタンフォード大学の教授が2011年に設立した企業です。彼らは酵母から「ヘム」という成分を分子レベルで生成することに成功しました。これは肉特有の血の風味やコクを再現する魔法の素材で、焼いた時の肉汁まで本物そっくりに再現できるのです。
こうした技術革新により、植物肉は単なる「代用品」から「選ばれるグルメ」へと昇華しました。米ナスダック市場に2019年5月に上場したビヨンド・ミートの成功を見れば、投資家たちがこの分野にどれほど熱い視線を注いでいるかは明白でしょう。もはや植物肉は、ベジタリアンのための特別な食事ではなく、地球の未来を担う次世代のスタンダードになろうとしています。
2040年の未来予想図と日本企業の挑戦
米ATカーニーの予測では、2040年には世界の食肉市場の60%が植物肉や「培養肉」に置き換わるとされています。培養肉とは、動物の細胞を研究所で育てて作るお肉のことで、命を奪わずに本物の肉を得る究極の技術です。日本国内でも日清食品ホールディングスや日本ハムがこの研究に心血を注いでおり、食のイノベーションを巡る国際競争は一段と激しさを増しています。
私は、この流れは一過性のブームではなく、人類が持続可能な社会を築くための必然的な選択だと確信しています。人口爆発による食糧不足が懸念される中、環境負荷の少ない植物肉が普及することは、私たちのライフスタイルを豊かにする大きな一歩となるでしょう。伝統ある日本企業がこの分野でどのような個性を発揮し、世界を驚かせてくれるのか、期待に胸が高まります。
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