近年、マンションでも飼いやすいペットとして若者を中心に爬虫類の人気が沸騰しています。しかし、その華やかなブームの裏側で、希少な野生動物を不正に持ち込む「密輸入」が深刻な問題となっていることをご存知でしょうか。SNS上でも「ペットショップで見かけた珍しい種類が、実は違法なものかもしれない」と、倫理観を問う声が相次いでいます。
2019年11月、世界で最も美しいと称えられる「ペレンティーオオトカゲ」の闇取引が発覚し、世間に衝撃を与えました。オーストラリア原産のこのトカゲは、成長すると約2メートルにも達し、独特の美しい紋様が特徴です。絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制する「ワシントン条約」により、商業目的の取引は厳しく禁じられています。
それにもかかわらず、今回の事件では雄が600万円、雌が330万円という驚くべき高値で売買されていました。2019年12月23日に報じられた内容によると、神奈川県厚木市の業者が規制のない別種と偽って輸入を強行した疑いが持たれています。こうした巧妙な手口が、日本の水際対策を脅かしているのが現状といえるでしょう。
ライフスタイルに合うペットの裏に潜む危機
なぜ今、これほどまでに爬虫類が求められているのでしょうか。現代のライフスタイルにおいて、鳴き声がなく臭いも少ない彼らは、集合住宅でも周囲を気にせず飼育できる理想的なパートナーです。数日に一度の給餌で済む手軽さや、著名人がSNSで愛好家であることを公表した影響もあり、2018年の輸入量は10年前の約5倍にまで急増しました。
しかし、需要の拡大は供給側の暴走を招きます。密輸の手口は年々巧妙化しており、税関の目を目視でくぐり抜けるケースも少なくありません。生まれたばかりの個体は成体のような特徴が乏しく、ベテランの職員でも判別は極めて困難です。一つの箱に大量の個体を混ぜ、その中に希少種を紛れ込ませるという卑劣な手法も横行しています。
野生動物の取引を監視する「トラフィック」の2017年の調査では、販売されている種の約4割が規制対象という驚きのデータも示されました。私は、どれほど飼いたいと願う種であっても、その個体がどこから来たのかを知る責任が飼い主にはあると考えます。安易な購入が、遠く離れた異国の生態系を破壊する手助けになってはならないのです。
希少種を手にすることは一種のステータスかもしれませんが、それは命の重みと引き換えにするものではありません。購入時には正規の輸入手続きを経た個体かを確認し、最後まで責任を持って飼育できるか自問自答する必要があります。密輸を許さないという消費者の強い意識こそが、野生動物を守るための最大の盾となるでしょう。
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