2019年12月25日の東京商品取引所において、金の先物価格が力強い動きを見せています。前日の2019年12月24日には清算値が1グラムあたり5239円に達し、これは11月上旬以来となる約1カ月半ぶりの高値水準です。聖夜の賑わいの中で届けられたこのニュースは、投資家たちの視線を一気に貴金属市場へと釘付けにしました。
今回の価格上昇を後押ししている大きな要因は、長期化する米中通商交渉への不透明感にあります。形式的な合意への期待はあるものの、完全な妥結にはまだ時間がかかるとの懸念が根強く、リスクを避けるための「安全資産」として金が選ばれているのです。SNS上でも「株高の裏で金がじわじわ上がっているのが不気味だ」といった、警戒感を含んだ声が目立っています。
実体経済との乖離が招く「守りの投資」
市場では現在の株価上昇に対して、どこか冷ややかな視線も混じっています。楽天証券経済研究所の吉田哲氏は、現在の株高が実体経済を正確に反映していないのではないか、という不安が投資家の心理を揺さぶっていると指摘しました。期待ばかりが先行して膨らむ相場環境において、価値がゼロにならない実物資産としての金は、非常に魅力的な選択肢として映るのでしょう。
ここで注目したい「清算値(せいさんね)」という専門用語ですが、これは取引終了時の価格を基準に、その日の損益を確定させるための計算価格を指します。いわば、その日の市場の「公式な評価額」のようなものです。この数値が節目を超えて上昇したことは、今後の強気相場を占う上で、極めて重要なシグナルであると私は考えています。
私自身の見解としても、世界的な超低金利政策が続くなか、金のような「利息を生まない資産」のデメリットは相対的に小さくなっています。むしろ、通貨の価値が揺らぐ局面では、金こそが最強の防衛策となるはずです。2019年の締めくくりを前にしたこの騰貴は、2020年に向けて資産形成のあり方を再考させる、大きな転換点になるのではないでしょうか。
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