日本の農業技術が、ついに巨大市場・中国の「夏の食卓」を塗り替えようとしています。野菜苗の国内最大手であるベルグアース株式会社は、2019年12月13日、イチゴの品種開発で知られる株式会社ホーブとの業務提携を発表しました。この強力なタッグが狙うのは、中国における「夏イチゴ」の独占的な生産と販売です。
中国は、全世界のイチゴ生産量の約4割を占めるという圧倒的な「イチゴ大国」であることをご存知でしょうか。SNS上でも「中国のイチゴ市場がそんなに大きかったのか」と驚きの声が上がっています。しかし、その多くは冬から春に収穫されるもので、夏場は酸味が強く硬い、ケーキなどの加工用イチゴが主流でした。ここに大きなチャンスが眠っているのです。
1粒300円の輝き!奇跡の品種「なつみずき」が海を渡る
今回、中国に導入されるのは、ホーブが2016年に商標登録を完了させた「夏瑞(なつみずき)」という品種です。本来、イチゴは暑さに弱く、気温が上がると甘みが落ちてしまいます。しかし、この「なつみずき」は、夏の太陽を浴びても大粒で驚くほど甘く、そのまま食べて美味しい「生食用」としての品質を維持できる、まさに革命的な品種なのです。
日本国内では1粒300円以上という高値で取引されることもあるこの高級イチゴは、まさに「食べる宝石」と呼ぶに相応しい存在でしょう。専門用語で「生食用」とは、加工せずに果実そのものの味を楽しむ用途を指しますが、中国の経済発展に伴い、こうした高品質な果実を求める富裕層や中間層が急増しているという背景があります。
48億本の苗が拓く未来!巨大市場への挑戦
ベルグアースの予測によれば、中国での生食用夏イチゴの普及が進めば、将来的に4万ヘクタールの栽培面積、実に48億本分もの苗市場に成長する可能性があるといいます。これには「日本の農業技術の輸出こそが、これからの成長戦略だ」と、期待を寄せるビジネス層の反応も非常に熱烈なものとなっています。
2020年内には、中国北部や南部の高冷地といった涼しい地域で、1ヘクタール規模の試験栽培がスタートする予定です。2019年12月26日現在、ベルグアースは現地の販売網を持つ大手企業との連携も視野に入れており、数年以内には数十ヘクタール規模への拡大を目指すという、極めてスピード感のある展開を計画しています。
私個人の見解としては、これは単なる苗の販売に留まらない「ブランド輸出」の成功例になると確信しています。「紅ほっぺ」などの日本品種がすでに高い評価を得ている中国において、夏の空白期間を埋める「なつみずき」の登場は、現地の食文化をも変えてしまう可能性を秘めているのではないでしょうか。日本の知財を守りつつ、世界へ羽ばたく挑戦を応援したいですね。
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