アメリカのメジャーリーグ(MLB)において、球場の足元に大きな変化の波が押し寄せています。2019年12月26日現在、かつては天然芝こそが至高とされたスタジアムの常識が覆され、最新鋭の人工芝を採用する球団が再び増加しているのです。今シーズンから天然芝を廃止したアリゾナ・ダイヤモンドバックスに続き、2020年シーズンからはテキサス・レンジャーズの新球場やマイアミ・マーリンズの本拠地でも導入が決まり、全30球場中5球場が人工芝へと切り替わる見通しとなりました。
1990年代半ばには10球場ほど存在した人工芝ですが、選手の足腰への負担が懸念され、近年ではトロント・ブルージェイズとタンパベイ・レイズの2球団のみにまで減少していました。しかし、昨今の目覚ましい技術革新がこの流れを劇的に変えたのです。現代の人工芝は、プラスチックなどの合成樹脂で天然芝の質感を緻密に再現したものであり、土の感触やクッション性までもが本物に限りなく近づいています。SNS上でも「見た目では天然か人工か区別がつかない」といった驚きの声が上がっています。
コスト削減と競技性の両立を叶えるハイテク芝の正体
今回のトレンド再燃の背景には、切実な運営コストの問題があります。特に開閉式屋根を持つドーム球場では、天然芝を維持するために膨大な空調管理や散水作業が必要となり、その費用は年間で莫大な額にのぼります。これらを大幅にカットできる人工芝の導入は、球団経営において極めて合理的な選択と言えるでしょう。ダイヤモンドバックスが採用した最新モデルは、ボールの跳ね方や転がる速度といった「競技性」の面でも、天然芝と遜色ないクオリティを実現しているのが最大の特徴です。
ダイヤモンドバックスのヘーゼン・ゼネラルマネジャー(GM)は、導入1年目を終えて「遠征で訪れた他球団からも不満の声はほとんど聞かれなかった」と手応えを語っています。GMの言葉からは、懸念されていたプレーへの悪影響が、技術によって克服されつつある自信が伺えます。運営側にとって、芝の管理に振り回されずに安定したコンディションを提供できるメリットは計り知れません。しかし、実際にその上で毎日プレーする選手たちの感覚はどうなのでしょうか。
現場からは慎重な意見も漏れ聞こえています。今季、背中の張りを訴えて戦線を離脱したマルテ選手は、地元メディアに対して、硬い人工芝特有の反発が身体への負担になった可能性を示唆しました。編集者の私見としては、どんなに技術が進歩しても、土と植物が持つ独特の衝撃吸収力を完全に再現するのはまだ時間がかかるのかもしれません。2020年1月1日から始まる新シーズンでは、レンジャーズやマーリンズの選手たちがどのような評価を下すのか、その反応が今後の球場づくりの試金石となるはずです。
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