いよいよ令和初となる記念すべきお正月が目前に迫ってまいりました。新しい時代の幕開けを華やかに彩りたいところですが、今、お正月飾りに欠かせない「花き(かき)」、つまり観賞用の植物の価格に大きな変化が起きています。東京都内の花卉市場では、例年おなじみの植物たちが前年に比べて1割から2割ほど高い卸値で取引されており、家計を預かる皆様や生花店にとって、少々頭の痛い状況が続いているようです。
特に価格上昇が目立っているのは、門松の主役である「ワカマツ」や、赤い実が可愛らしい「センリョウ」といった定番の縁起物です。SNS上でも「馴染みのお花屋さんに寄ったら、千両が思いのほか高くて驚いた」「台風の影響がこんなところまで出ているのか」といった、驚きや戸惑いの声が広がっています。市場関係者によれば、こうした高騰の背景には、2019年の秋に各地を襲った甚大な台風被害が深く影を落としているといいます。
主力産地を襲った台風の爪痕と農家の苦悩
ワカマツの主要な産地として知られる茨城県神栖市では、深刻な事態に直面しています。例年200万本もの出荷を誇るミゾグチファームの溝口洋一社長は、相次ぐ大雨によって根腐れが発生し、規格外の商品が増えてしまったと肩を落としています。2019年12月26日現在、台風の強風で枝が曲がる被害も相次いでおり、ここ10年間で最も厳しい状況にあると吐露されています。出荷量は前年比で2割も減少しており、生産現場の苦労は計り知れません。
また、センリョウの栽培が盛んな千葉県でも、台風による「塩害」が猛威を振るいました。塩害とは、強風で運ばれた海塩が植物に付着し、枯死や変色を招く生理障害を指します。この影響で葉が黒ずんでしまう被害が続出し、中には全滅を余儀なくされた農家もあるという非常に痛ましい報告が届いています。こうした供給不足を受け、都内の生花店ではワカマツ1本が330円前後で販売されるなど、消費者にとっても「高値の花」となっているのが実情です。
令和最初の正月は「小菊」がトレンドに?
一方で、暗いニュースばかりではありません。冬の主産地である沖縄県産の「小菊」は、2019年は台風の直撃を免れたこともあり、出荷量が前年より1割から2割ほど増えています。2018年は台風による停電で大きなダメージを受けた沖縄ですが、今年は順調に生育し、市場価格も1本40円前後と例年より安価に抑えられています。主力品種が高騰する中、この手頃で華やかな小菊が、令和初の正月飾りにおける「主役」の座を射止めるかもしれません。
編集部としては、価格高騰は残念ではあるものの、これを機に日本の伝統的な正月飾りの価値を見直したいと考えています。台風という自然の猛威に立ち向かい、一本でも多く届けようと尽力する農家の方々の想いを知れば、たとえ少し高価であっても、その一枝に宿る縁起の良さは格別なものに感じられるはずです。今年は高価なワカマツに、お手頃な小菊をたっぷりと添えて、ボリューム感のある自分だけのアレンジメントを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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