2019年4月26日にグランドオープンを迎えた広島県三次市の「日本妖怪博物館」、通称「三次もののけミュージアム」が、今まさに全国の観光スポットとして熱い視線を浴びています。開館からわずか半年足らずという驚異的なスピードで、年間目標として掲げていた10万人の入館者数を軽々と突破しました。かつては静かだった市街地が、今や「妖怪」というユニークなキーワードを武器に、かつてない活気に包まれているのです。
この爆発的な人気の背景には、SNSでの拡散力が大きく影響しています。ネット上では「想像以上にガチな妖怪展示で驚いた」「チームラボの技術と妖怪の組み合わせが最高に映える」といったポジティブな口コミが連鎖し、ファミリー層から若者まで幅広い世代を惹きつけています。これまで三次を訪れる機会が少なかった欧米圏の外国人観光客の姿も目立つようになり、文化的な好奇心を刺激する新たな聖地としての地位を確立しつつあるようです。
江戸時代の物語「稲生物怪録」と世界誇る湯本コレクションの融合
展示の目玉となっているのは、江戸時代からこの地に伝わる「稲生物怪録(いのうもののけろく)」という物語です。これは実在した武士が30日間にわたり妖怪の怪異に立ち向かうという奇想天外な実話ベースの逸話であり、妖怪愛好家の間では聖典として知られています。地元の歴史に根ざした物語を軸に据えることで、単なるエンタメ施設に留まらない、歴史的価値を感じさせる深みがこのミュージアムの強みと言えるでしょう。
さらに、日本最大級の妖怪コレクターであり民俗学者でもある湯本豪一氏から寄贈された、約5000点にも及ぶ膨大な資料が見る者を圧倒します。貴重な絵巻や造形物は、学術的な資料でありながらどこかユーモラスで、日本人が古来より育んできた豊かな想像力を今に伝えています。編集者である私の視点からも、こうした「本物」が放つオーラと、地方都市の熱意が融合したことで、今回のヒットが生まれたのだと確信しています。
チームラボが手掛ける「妖怪遊園地」で子供たちも夢中に
伝統的な展示だけでなく、最先端のデジタルアートが楽しめる点も見逃せません。「チームラボ 妖怪遊園地」では、子供たちが自分で描いた妖怪の絵が巨大なスクリーン上で命を吹き込まれたかのように動き出します。このデジタル技術による体験型コンテンツは、静かに鑑賞するだけの博物館という固定概念を打ち破りました。親子で笑顔になれるこの空間こそが、リピーターを生む最大の要因となっているのではないでしょうか。
2020年01月01日現在、福岡誠志市長は「他の観光資源との連携をさらに強めていきたい」と語っており、市全体の周遊拠点としての期待を寄せています。同じ敷地内にある「交流館」では、ここだけでしか手に入らない妖怪グッズや地元グルメも充実しており、お土産選びにも困ることはありません。三次の街が「もののけの聖地」としてどのように進化していくのか、その動向から目が離せそうにありませんね。
コメント