首相官邸の執務室には、歴史の重みを感じさせる一枚の古びた写真が大切に飾られています。そこに写っているのは、安倍晋三首相の祖父である岸信介元首相と、当時のアメリカ大統領アイゼンハワー氏です。両首脳が手を取り合い、現行の日米安全保障条約を改定してから、2020年01月19日でちょうど60年という大きな節目を迎えます。
かつて岸元首相は、激しい反対デモが巻き起こる中で、アメリカとのゴルフ外交を通じて信頼を築き、命がけでこの条約を守り抜きました。孫である安倍首相もまた、トランプ大統領と14回もの直接会談、33回に及ぶ電話協議を重ねるなど、驚異的な頻度で意思疎通を図っています。まさに血筋とも言える、強固な対米外交の姿勢がそこには表れています。
異例の「日本単独訪問」が物語る、蜜月関係の真実
2019年05月、トランプ大統領が令和初の国賓として来日した際、ある「異例の事態」が話題となりました。過去の大統領はアジア訪問のついでに日本へ立ち寄るのが通例でしたが、トランプ氏は日本だけを目的に太平洋を渡ったのです。SNSでも「これほど日本が特別視されるのは珍しい」と驚きの声が上がり、二国の親密さが世界に示されました。
しかし、この蜜月関係の裏側には、避けては通れない「同盟のコスト」という現実も横たわっています。トランプ政権は、米軍が日本に駐留するための経費について、日本側により多くの負担を求めています。長年、アメリカの軍事力に守られてきた日本にとって、この「応分の負担」という要求は、安全保障のあり方を根本から問い直す大きな課題となっています。
「世界の警察官」不在の時代、日本が進むべき道とは
現在の国際情勢は、かつてアメリカが「1強」として世界を牽引していた時代とは一変しています。自国第一主義を掲げるアメリカは、もはや「世界の警察官」としての役割を終えようとしています。一方で、隣国の中国は軍事力を急速に増強し、北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威も消えることはありません。不確実な世界で、日本の平和をどう守るべきでしょうか。
2015年に成立した「安全保障関連法」により、日本は集団的自衛権(密接な関係にある他国が攻撃された際、共同で防衛する権利)の行使が可能となりました。これに対しては「平和憲法との整合性」を懸念する声も根強く、軍事的な協力範囲をどこまで広げるべきか、国民の間でも慎重な議論が続いています。
編集者の視点から言えば、もはや日米同盟を「受動的に維持する」だけの時代は終わりました。憲法の制約を尊重しつつも、日本が国際秩序の構築において主体的な役割を果たすことが求められています。ポピュリズムが台頭し、予測不能な事態が続く現代だからこそ、60年を積み上げたこの同盟を「深化」させ、次世代へ繋ぐ知恵が必要なのです。
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