現代のビジネスシーンにおいて、データは「新しい石油」とも称されるほど価値のある資源となりました。ITを駆使して企業経営を根本から変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が叫ばれる中、その成否を分けるのは、自社の状態をいかに正確な数値で把握できるかという点に集約されるでしょう。
こうした課題を解決する強力な武器として注目を集めているのが、ビジネスインテリジェンス(BI)と呼ばれるソフトウェアです。BIとは、企業内に蓄積された膨大なデータを収集・分析し、経営判断に役立てるための仕組みを指します。SNS上でも「データの見える化こそがDXの第一歩」という声が多く、関心が高まっています。
過去のツールとは一線を画す「リアルタイム性」の衝撃
BIツール自体の歴史は意外にも古く、30年以上前から存在していました。しかし、米ドーモ(Domo)のジャシュ・ジェイムズCEOは、従来のツールは単なるリポート作成の域を出ず、実用性に欠けていたと指摘します。エクセルやPDFを生成するだけの旧来型に対し、最新のBIは全く異なる次元の体験を提供してくれるのです。
ドーモが提供するソリューションの最大の特徴は、あらゆる社内システムをシームレスに接続し、機械学習やAIを駆使してデータを視覚化できる点にあります。何より驚くべきは、企業の「今」を映し出すリアルタイム性でしょう。刻一刻と変化する市場環境において、このスピード感は競合他社に対する圧倒的な優位性となります。
具体的な成功例として、家電メーカーの米シャークニンジャの事例が挙げられます。同社は2019年に入り、ドーモの導入からわずか数週間でシステムを構築しました。お掃除ロボットの使用データと気象情報を組み合わせた結果、花粉の飛散量と製品故障の因果関係を突き止めるという、従来の分析では困難だった発見に至ったのです。
日本企業の意識を変える「無償実証サービス」の狙い
日本国内に目を向けると、楽天のような先進企業がドーモを導入し、経営層向けリポートの自動化によって大幅な業務効率化に成功しています。しかし、ジェイムズ氏は「多くの日本企業はまだ様子見の段階にある」と分析しています。慎重な日本企業の背中を押すため、同社は現在、異例の「無償実証サービス」を展開中です。
このサービスはPoC(概念実証)と呼ばれ、本格導入の前に、その技術が自社にとって本当に有効かどうかを検証するプロセスを指します。2019年12月13日現在、このプログラムを通じて多くの企業にその価値を実感してもらうことが、日本市場開拓の切り札になるとジェイムズ氏は確信しているようです。
私自身の見解としても、日本企業がグローバル競争に勝ち残るためには、これまでの「経験と勘」に頼る経営から脱却し、客観的なデータに基づいた迅速な意思決定へと舵を切るべきだと考えます。IT投資をコストではなく、未来への成長投資と捉え直すマインドセットの転換が、まさに今求められているのではないでしょうか。
日本語の「どうも」を冠した社名を持つ同社は、携帯電話がスマートフォンへと進化したような劇的な変化を、日本の情報システムにもたらそうとしています。大手企業による採用も着実に始まっており、2019年を契機として日本国内のデータエコノミーがどこまで加速していくのか、今後の動向から目が離せません。
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