2020年1月3日、日本のファッション業界は大きな転換点の真っ只中にあります。かつて街を彩った有名ブランドが相次いで姿を消し、実店舗の「閉店ドミノ」という厳しい現実が突きつけられているのです。2019年には、一世を風靡したフォーエバー21が日本から撤退したほか、オンワードホールディングスが大規模な店舗閉鎖を発表するなど、業界に激震が走りました。SNS上でも「馴染みの店がなくなるのは寂しい」「ネットで買えるから店舗に行かなくなった」といった、消費者のリアルな変化を映し出す声が溢れています。
こうした苦境の背景には、スマートフォンを通じたオンラインショッピングの急速な普及があります。かつては「服は試着しないと売れない」という常識がありましたが、今やゾゾタウンなどの台頭により、いつでもどこでも買える利便性が勝利を収めました。これにより、ただ安いだけ、あるいは流行を追うだけのブランドは、厳しい淘汰の波にさらされているのです。これからの時代、企業には単なる販売拠点ではない、店舗の新しい存在価値や、ブランド独自の強固なアイデンティティが求められるようになるでしょう。
「D2C」と「サステナブル」が握る再生の鍵
生き残りをかけた新たな動きとして注目を集めているのが「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」というビジネスモデルです。これはメーカーが自社で企画・製造した商品を、中間業者や店舗を介さず、SNSや自社サイトを通じて消費者に直接届ける手法を指します。店舗コストを削ることで、高品質な素材を使いながらも手に取りやすい価格を実現できるのが最大の強みです。消費者の声を即座に商品開発に反映させる小回りの良さは、大量生産・大量消費の時代が終わった現代において、非常に強力な武器となるはずです。
また、2020年は「サステナビリティ(持続可能性)」という言葉が、ファッションの絶対条件となる一年になるでしょう。環境に配慮した素材選びや、過剰在庫を抱えない生産体制は、もはや企業の義務といっても過言ではありません。ユニクロがリサイクル素材を活用した新商品を投入するように、地球環境への優しさと、ファッションとしての品質をいかに両立させるかが、消費者の信頼を勝ち取る分かれ道となります。無駄を省くオーダーメイド生産の拡大も、こうした流れを強力に後押ししていくでしょう。
一方で、高級ブランド市場を牽引するLVMHジャパンのノルベール・ルレ社長が語るように、日本の消費意欲そのものが冷え込んでいるわけではありません。若い世代であっても、本当に価値を感じる一品には惜しみなく投資する傾向があります。つまり、消費者が「どうしてもここで買いたい」と思えるような、圧倒的な体験やストーリーを提供できるかどうかが鍵なのです。2020年は、これまでの慣習を脱ぎ捨て、新しい時代の価値観へと自分たちを「着せ替え」できた企業だけが、輝けるステージへと進めるでしょう。
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