2019年12月現在、東京・上野の国立新美術館では、東欧の至宝が集結する「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展が開催され、大きな注目を集めています。本展の目玉として圧倒的な存在感を放っているのが、シニェイ・メルシェ・パールが1874年に描き上げた傑作「紫のドレスの婦人」です。この作品は「ハンガリーのモナ・リザ」という愛称で親しまれ、同国の芸術文化を象徴するアイコンとして愛され続けてきました。
絵画のモデルを務めたのは画家の愛する新婚の妻であり、画面からは彼女への慈しみと瑞々しい感性が溢れ出しているようです。深い紫色のドレスを身に纏った女性が、黄色い花々が点描のように散りばめられた鮮やかな緑の草原に佇む姿は、見る者の視線を釘付けにします。補色関係にある紫と黄、そして背景の緑が見事なコントラストを成しており、光の粒子が画面全体で踊っているかのような、爽やかな多幸感に包まれることでしょう。
SNS上では、実際に会場へ足を運んだファンから「ドレスの色の深みに引き込まれた」「19世紀の作品とは思えないほどモダンで色彩が美しい」といった絶賛の声が相次いでいます。また「本場のハンガリー・ナショナル・ギャラリーでもなかなか見られない名品が日本で見られるなんて感激」という熱烈な投稿も散見され、美術ファンだけでなく、ファッションやデザインに興味を持つ層からも熱い視線が注がれているようです。
本作で特筆すべきは、当時のヨーロッパで流行していた「外光派」の影響を感じさせる描写です。これはアトリエにこもるのではなく、屋外の自然光の下で対象を捉える手法を指しますが、シニェイ・メルシェ・パールは独自の色彩感覚で東欧独自の美を確立しました。この歴史的な傑作を間近で鑑賞できる機会は、2019年12月16日時点の日本において、まさに冬の寒さを忘れさせてくれるような、心温まる芸術の贈り物といえるでしょう。
編集者が語る「東欧の美」が今、私たちの心を掴む理由
筆者が思うに、この展覧会がこれほどまでに人々の心を捉えるのは、私たちが普段触れる機会の多い西欧の美術とは一線を画す、ハンガリー特有の情熱と繊細さが共存しているからではないでしょうか。特に「紫のドレスの婦人」に見られる大胆な配色は、伝統を守りながらも新しい時代を切り拓こうとした、当時の芸術家たちの自由な精神を代弁しているように感じられます。
単なる優雅な肖像画にとどまらず、ドレスの質感や草原の風、そしてモデルの穏やかな眼差しまでをもパッケージしたこの作品は、写真では決して伝わらないオーラを纏っています。情報が溢れる現代だからこそ、一世紀半も前に描かれたキャンバスから放たれる圧倒的な「本物の力」に触れる時間は、何物にも代えがたい贅沢なひとときとなるはずです。ぜひ会場で、その鮮やかな紫の輝きを五感で受け止めてみてください。
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