2019年12月19日、日本の司法史に刻まれる重要な判断が下されました。暴力団「住吉会」の組員らが関与した特殊詐欺事件において、被害者が組織のトップを相手取り損害賠償を求めていた訴訟の控訴審です。東京高裁の岩井伸晃裁判長は、一審の水戸地裁判決を支持し、住吉会の関功会長らに対して約605万円の支払いを命じました。
今回の判決がなぜこれほどまでに注目を集めているのでしょうか。それは、特殊詐欺という巧妙な犯罪に対して、暴力団のトップが負う「使用者責任」を認めた高裁レベルでの初めての判断だからです。使用者責任とは、従業員が仕事中に他人に損害を与えた際、雇い主もその責任を共に負うという民法上の考え方を指しており、これが暴力団組織にも適用された形となります。
暴力団対策法が示す「威力の利用」という高い壁
これまで、特殊詐欺の現場で直接手を下さない組織幹部の責任を追及することは、法律の解釈において非常に困難であるとされてきました。根拠となる暴力団対策法では、組員が組織の「威力」を背景に資金を得ようとして他人の財産を侵害した場合、代表者も賠償責任を負うと定めています。しかし、電話で正体を隠して騙す詐欺において、この「威力」がどう作用しているかが議論の的でした。
岩井裁判長は、たとえ被害者が直接脅されていなくても、犯罪を実行する過程で組織の威力を背景とした統制が働いていれば、この規定に含まれると踏み込んだ解釈を示したのです。この判断に対し、SNS上では「画期的な判決だ」「末端のトカゲの尻尾切りを許さない姿勢を支持する」といった、司法の毅然とした態度を歓迎する声が数多く寄せられています。
編集者の視点:組織犯罪への強力な抑止力となるか
私個人の見解としては、今回の判決は特殊詐欺の根絶に向けた「最強の武器」になり得ると確信しています。これまでは、逮捕されるのは「出し子」や「受け子」と呼ばれる末端の若者ばかりで、組織の上層部は安全圏で巨額の利益を享受していました。しかし、トップの資産が直接賠償に充てられるとなれば、組織運営におけるリスクは劇的に跳ね上がることでしょう。
2019年12月20日現在、地裁レベルでは判断が分かれていたこの問題に一定の指針が示された意義は極めて大きいと言えます。今後は、被害者が泣き寝入りすることなく、組織全体に対して正当な補償を求める動きが加速するはずです。暴力団の資金源を断つという実効的なアプローチが、私たちの社会をより安全な場所へ導いてくれることを切に願っています。
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