2019年12月23日、ジェネリック医薬品(後発薬)の国内大手として知られる東和薬品が、世界を驚かせるビッグニュースを発表しました。スペインの医薬品大手であるエステベグループの傘下で、後発薬事業を牽引するペンサインベストメンツ社を、約3億2千万ユーロ(日本円にして約389億円)で買収することを決定したのです。
東和薬品にとって、海外の医薬品メーカーを傘下に収める試みは今回が初めての挑戦となります。この思い切った決断の背景には、日本国内における後発薬市場の成長が鈍化し、先行きに不透明感が増しているという切実な事情があると言えるでしょう。2020年1月31日までに全ての株式を取得し、完全子会社化する計画が着々と進められています。
買収対象となったペンサ社の2018年12月期における実績を見ると、売上高は2億6900万ユーロを記録する一方で、最終損益は1700万ユーロの赤字という厳しい状況にあります。しかし、彼らがスペインに構える製造拠点や、ドイツやイタリアなど欧州各国に展開する5つの強固な販売ネットワークは、何物にも代えがたい魅力的な資産です。
インターネット上のSNSでもこのニュースは大きな話題を呼んでおり、「ついに東和も世界へ飛び出すのか」「国内市場の厳しさを物語っている」といった驚きの声が上がっています。また、赤字事業の買収に対して「再生への手腕が問われるが、欧州の拠点をゼロから作るのは大変なので賢い選択だ」という前向きな分析も散見されました。
ここで少し「後発薬(ジェネリック医薬品)」について解説しておきましょう。これは新薬の特許が切れた後に、同じ有効成分を用いて製造される安価な薬を指します。日本では医療費抑制の切り札として普及が進んできましたが、普及率が目標に達しつつある現在、製薬各社は国内だけでは十分な利益を確保しにくいフェーズに突入しているのです。
編集者の視点から申し上げれば、今回の東和薬品による巨額買収は、守りから攻めへと転じた非常に戦略的な一手だと感じます。赤字部門の買収にはリスクが伴いますが、急速に進むグローバル化の波に乗り遅れないためには、欧州という巨大市場へのパスポートをこのタイミングで手に入れる意義は極めて大きいのではないでしょうか。
2019年という年の瀬に発表されたこのニュースは、日本の医薬品業界が新たな局面を迎えたことを象徴しています。自社ブランドが海を渡り、現地の拠点を活用してどのようにシナジー(相乗効果)を生み出していくのか、2020年以降の東和薬品が展開する世界戦略から、ますます目が離せなくなりそうです。
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