北の大地から、私たちの食卓を揺るがす深刻なニュースが飛び込んできました。現在、北海道の海で異変が起きており、道東沖のサンマは戦後最低の水揚げ量を記録しています。さらに函館の名物であるイカも歴史的な不漁に見舞われており、地元の水産加工会社は海外からの輸入に頼らざるを得ない状況です。ネット上でも「秋の味覚が手の届かない存在になるのは悲しい」「居酒屋でイカ刺しが消えた」といった、悲痛な声が多数寄せられています。
実際の店舗でも影響は顕著で、2019年8月には札幌市内のスーパーで初物サンマに398円という異例の高値が付きました。例年に比べて身が細く、脂の乗りも控えめな印象です。地元のギフト販売が中止に追い込まれる一方で、2019年10月に開催されたイベントでの炭火焼きサンマには大行列ができました。細い身をほお張りながらも、貴重な海の恵みをありがたがる消費者の姿が印象的であり、現在の深刻な品薄状態を物語っています。
データを見ると、2019年度のサンマ水揚げ量は、主要な花咲港で前年同期比61%減の1万6106トンにまで落ち込みました。詳細な記録が残る1972年以降で最低の数字であり、壊滅的な状況です。こうした事態を受け、漁船は日本近海を離れて1000キロメートルも離れた公海へ向かうしかありません。2019年9月には遠方の海域で中型船が転覆する痛ましい事故も発生しており、命がけの操業を強いられているのが現状です。
この不漁の背景として、専門家は数十年周期で漁場が変わる「魚種交代」の可能性を指摘しています。海水温の上昇により、サンマが日本近海を通らずに南下しているという仮説です。シミュレーションによると、2100年にはエサの減少でサンマがさらに10グラム小型化する未来が予見されています。2019年10月9日時点の水揚げ量も前年のわずか0.06%にとどまっており、かつての風物詩が様変わりしてしまう日は近いかもしれません。
一方で、函館のスルメイカも2019年6月から11月までの取扱量が826トンと、2005年度以降で最低の記録を更新しました。この影響で地域の水産加工業者の7割以上が赤字経営に陥るという、経済的な大打撃も深刻です。現在は解禁されたロシアからの輸入イカに依存しており、2019年11月の輸入量は前年の40倍に急増しました。本来の豊かな漁場が失われ、海外依存を強めざるを得ない地域経済の苦境が浮き彫りになっています。
イカ不漁の要因とされるのは、地球温暖化がもたらす「海水温の低下」という逆転現象です。北極の氷が溶けることで偏西風が蛇行し、日本周辺に局所的な寒気をもたらすため、産卵に適した20度前後の水温を維持できなくなります。対照的に、近年はブリやイワシの豊漁が続いていますが、一朝一夕でブランド化を果たすのは容易ではありません。今こそ私たちは、この海のサインを真摯に受け止め、食文化を守る対策を考えるべきでしょう。
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