公務員の給料事情は、いつの時代も多くの人々が関心を寄せるトピックではないでしょうか。総務省がこのほど公表した最新のデータによると、2019年4月1日時点における名古屋市の地方公務員の給与水準が、国家公務員の基準を下回っていることが明らかになりました。驚くべきことに、国より低い水準を記録するのはこれで4年連続となります。かつては高い給与水準を誇っていた名古屋市に、一体どのような変化が起きているのでしょうか。
ここで重要になるキーワードが「ラスパイレス指数」です。これは国家公務員の行政職の給与を100とした場合に、地方公務員の基本給がどれくらいの割合にあるかを比較した指標を指します。つまり、100を超えていれば国よりも給与が高く、下回っていれば低いことを意味する仕組みです。この指数は、全国の自治体の財政健全性や給与の妥当性を測るための重要な物差しとして、行政ニュースなどで頻繁に活用されています。
名古屋市の歩みを振り返ると、2015年4月1日時点の指数は103.5に達しており、国を大きく上回るトップクラスの待遇でした。しかし、2019年4月1日時点では99.4にまで下落し、かつての勢いは影を潜めています。全国に20ある政令指定都市の中で比較しても、首位の静岡市が102.6を記録するなど14都市が国以上の水準を維持する中で、名古屋市は17位にまで急降下しました。2015年当時の2位から大きく順位を落とした形です。
この急激な変化の裏には、市が実施した給与体系の見直しが関係しています。名古屋市は2016年度に国の基準に合わせて一部の諸手当を増額したものの、同時に基本給の引き下げを行いました。先ほど解説したラスパイレス指数は、各種手当を除いた「基本給」のみを対象に算出されるため、手当が増えても基本給が下がれば指数は低下します。表面上の数字だけでは見えない、複雑な給与構造のカラクリがここには隠されているのでしょう。
インターネット上のSNSなどでは、このニュースに対して様々な意見が飛び交っています。「大都市の名古屋で国未満なのは意外」「職員のモチベーションが心配」といった同情的な声が上がる一方で、「手当が増えているなら実質的な総支給額は変わらないのでは」という冷静な分析も見られました。市民の税金から支払われる給与だからこそ、その内訳や算出方法に対して、世間の人々は非常にシビアな視線を注いでいる様子がうかがえます。
ここで、周辺の中部3県における動きにも目を向けてみましょう。愛知県と岐阜県については、国並みの水準へにじり寄る傾向が見られます。愛知県は5年前の2014年に102.9でしたが、2019年には100.7へと落ち着きを見せました。また、岐阜県も2014年の98.5から2019年には99.5へと上昇しており、両県ともに国家公務員の基準値である100のラインに限りなく近づいている状況が非常に興味深いポイントです。
その一方で、独自の高水準を維持し続けているのが三重県です。三重県は2014年の101.8から2019年は101.6と横ばいで推移しており、47都道府県の中でも3位という上位をキープしています。さらに市町村別で見ると、岐阜市が2014年の101.9から2019年は101.1と高水準のまま横ばいです。津市は2014年の99.1から、途中で100を超える年を挟みつつも、2019年は99.5という結果に着地しました。
編集部としての見解ですが、自治体の給与水準は単純な高低だけで批判されるべきではないと考えます。名古屋市のように基本給を下げて手当を厚くする施策は、優秀な人材を確保しつつ固定費を調整するための苦肉の策かもしれません。しかし、働く職員の満足度が下がれば、巡り巡って市民サービスへの影響も懸念されます。各自治体には、透明性のある説明と、地域の実情に見合った適切な処遇のバランス模索を期待したいところです。
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