日本の医療制度が直面している大きな課題、それは膨らみ続ける医療費をいかに抑えるかという点です。2019年12月26日現在、東邦大学医学部特任教授である小山信弥氏は、その解決策として「後発医薬品(ジェネリック)」のさらなる活用を提言しています。
ジェネリックとは、特許が切れた先発薬と同じ有効成分・効能を持ちながら、価格は先発薬の約半分という家計にも優しいお薬のことです。政府は使用率80%を目標に掲げており、現在は70%台後半まで到達していますが、小山氏はさらなる「てこ入れ」が必要だと指摘します。
地域格差を解消し「薬価差益」への依存から脱却を
興味深いことに、ジェネリックの使用率には大きな地域差が存在します。沖縄や宮崎では80%を超える一方、東京や徳島などは70%台前半に留まっているのです。人口の多い東京で普及が進めば、国の財政に与えるインパクトは非常に大きいものになるでしょう。
普及を阻む壁の一つに、病院側の「薬価差益」があります。これは国が決めた薬の値段と、病院が仕入れた値段の差額で得られる利益のことです。目先の利益のために高い先発薬を処方し続ける体質は、真に患者を思う姿勢といえるのか、今一度問い直す時期に来ています。
東邦大学大森病院の成功例に見るチーム医療の進化
小山氏が院長を務めていた2003年、東邦大学大森病院ではいち早くジェネリックへの切り替えを断行しました。当初は質の不安もありましたが、薬剤部長の熱意に押されてスタートしたところ、わずか50品目の変更で薬剤費が4%も削減され、経営状況が劇的に改善したのです。
浮いたコストや人員を「チーム医療」に充てたことで、医師や看護師の負担が減り、入院ケアの質が向上するという素晴らしい副産物も生まれました。SNS上でも「安くなるだけでなく医療の質が上がるなら大歓迎」といった前向きな意見が多く寄せられています。
薬をもらうための受診を減らす「定額負担」の導入
さらに、小山氏は「OTC化(市販薬への転用)」の促進も提案しています。湿布や軽微な薬をもらうためだけに長時間待って受診する現状を打破するため、外来受診時に1,000円程度の定額負担を導入し、軽症なら薬局で直接買える仕組みを整えるべきだという主張です。
私は、この提案に強く賛同します。医療資源には限りがあります。ジェネリックを賢く選び、本当に医師の診察が必要な人がスムーズに受診できる環境を整えることは、私たち一人ひとりの将来の安心を守ること。それは、持続可能な社会を作るための大切な一歩となるはずです。
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