ノマドや2拠点居住で変わる「住民」の定義!2020年代のライフスタイルと二重住民票の未来

2020年01月06日、私たちは新しい時代の幕開けを迎えました。日本建築学会が発行する「建築雑誌」の2019年11月号では、これからの時代を情報や人間の移動が急加速する「高流動化社会」と位置づけています。デジタル技術が目覚ましく発達した現代において、特定の場所に縛られずに仕事をするノマドワーカーや、複数の地域に拠点を持つ多地域居住者が急増しているのです。こうした身軽な生き方の広がりは、これまでの大都市と地方という固定化された上下関係を根本から覆す可能性を秘めているでしょう。

このような新しい生き方を後押しする具体的な動きも、すでに地方で始まっています。例えば徳島県が導入した「デュアルスクール」という制度をご存じでしょうか。これは都会で暮らす子どもたちが、一定期間だけ徳島県の学校へ通うことができる画期的な取り組みです。2019年度には実際に5家族がこの制度を利用しており、同様の試みは長野県塩尻市などにも広がりを見せています。ネット上でも「子どもに多様な体験をさせられる素晴らしい制度」「全国に広がってほしい」と大きな反響を呼んでいる状況です。

現行のルールでは、住民票を移さなくても都会の在籍校の出席日数としてカウントされる仕組みですが、これらはまだ特例に過ぎません。現在の日本の法律や社会制度は、あくまで「一つの場所に定住する国民」を前提として作られているからです。地方自治法や住民基本台帳法によって、私たちが登録できる住所は法律上1つだけと定められています。しかし、専門的な法律の解釈である民法においては、実は複数の住所を認める説が有力視されており、明治時代の末期までは複数の自治体の住民になることが可能でした。

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人口減少を救う「二重住民登録」というイノベーション

この凝り固まった住民の概念に一石を投じる研究が進んでいます。福島県会津美里町の職員である渡部朋宏さんは、「複数の市町村で同時に住民登録ができる仕組み」を熱心に提唱されている一人です。元々は原発事故によって避難生活を余儀なくされた人々の苦境を救うために考案されたアイデアですが、これは深刻な人口減少に悩む地方の特効薬にもなり得ます。二重登録を認めることで、都市部の人々が気軽に地方との関わりを持ち、多地域居住のハードルを劇的に下げることができるのではないでしょうか。

政府の有識者会議でも、元総務大臣の増田寛也氏が「多地域での暮らしが一般化する中で、現行の住民票制度が大きな壁になる」と明確に問題提起を行いました。生活の拠点が複数に分散すれば、当然ながら定住を前提とした現在の住民税のシステムは実態に合わなくなります。そこで日本経済調査協議会は、どこにいても消費すれば発生する地方消費税や、土地にかかる固定資産税を重視する「フリーアドレス型税制」を提案しました。あるいは、話題のふるさと納税をさらに進化させて税金を分け合う方法も考えられます。

編集部としては、この「住民票の複数保有」や「税制の柔軟化」に大いに賛成です。場所に縛られない生き方は、個人の幸福度を高めるだけでなく、関係人口を増やして地方を元気にする究極の地方創生ルールになると確信しています。1つの場所に一生留まることが美徳とされた時代は終わり、これからはお気に入りの地域をいくつも持ち、それぞれの街を応援する時代がやってくるはずです。制度の壁を乗り越えた先にある、自由で活力に満ちた社会の実現を心から期待せずにはいられません。

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