2020年1月6日現在、SNS上で「卵や乳製品アレルギーの我が子が、初めて普通のショートケーキを食べられた!」という感動の声が次々と投稿され、大きな反響を呼んでいます。この奇跡のようなスイーツを手掛けているのが、カフェ・カンパニー株式会社の岡田春生エグゼクティブ・パティシエです。
彼が作るのは、動物性の食材を一切使用しない「ビーガン」向けのケーキです。ビーガンとは完全菜食主義を指し、肉や魚だけでなく、卵や牛乳などの乳製品、さらにはハチミツなども口にしないライフスタイルのこと。食物アレルギーを持つ子供たちにとって、ふわふわのクリスマスケーキを食べることは、長年の夢でした。
岡田さんがこの道に進むきっかけとなったのは、ある家族からの「アレルギーの子供に誕生日ケーキを作ってほしい」という切実な願いだったそうです。しかし、従来の洋菓子の知識だけでは限界を感じ、穀物や野菜を中心とする自然派の食事法「マクロビオティック」の飲食店へと活動の場を移しました。
10年の歳月が結実した「奇跡のスポンジ」
マクロビオティックの現場で豆腐を使ったスイーツを学んだものの、岡田さんが目指す「本物のケーキ」には届きませんでした。ケーキの命とも言える、口どけの良いクリームと軽いスポンジをどう再現するのか。クリームには豆乳を採用してふんわり感を出し、最大の難関であったスポンジ作りに挑むことになります。
通常、スポンジ生地を膨らませるには卵の力が不可欠です。そこで岡田さんは、加熱で生地を膨張させるベーキングパウダーで代用する手法を試みました。1グラム単位で配合を変え、フォークで刺しては卵を使った時の「サクッ」とした感触を探し続ける日々。誰もが満足する味を完成させるまでに、なんと10年もの歳月を費やしたのです。
誰もが同じテーブルで笑い合える未来へ
2015年に独立後、彼の作るビーガンスイーツは瞬く間に口コミで広まりました。その才能に惚れ込んだカフェ・カンパニーの楠本修二郎社長に誘われ、2017年に同社へ入社。現在、東京・新宿にある「ワイアード ボンボン」では、提供されるデザートのすべてがビーガン対応という画期的なメニュー展開を行っています。
いよいよ2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、多様な食文化を持つ海外からの観光客も急増するでしょう。これに伴い、日本でもビーガン対応の飲食店がますます求められることは間違いありません。私自身、食の制限による壁をなくし、誰もが同じテーブルで美味しい時間を共有できる社会こそ、真に豊かな社会だと確信しています。
岡田さんは「アレルギーの子供が成長し、デートでカフェに入った時にも悩まない、カジュアルな存在にしたい」と語ります。ふらりと立ち寄ったお洒落なカフェで、誰もが当たり前のようにビーガンスイーツを楽しめる。そんな素晴らしい未来は、もうすぐそこまで来ているのではないでしょうか。
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