医療や介護の分野における深刻な人手不足が叫ばれる中、テクノロジーの力でその課題を解決しようとする注目の企業が株式上場を果たしました。インターネットを活用した採用システムや、自宅にいながら医師の診察を受けられる仕組みを展開する株式会社メドレーです。同社の代表取締役医師である豊田剛一郎氏へのインタビューを通じて、今後の成長戦略や日本の医療が抱える課題について深く探っていきましょう。
今回の株式上場について豊田氏は、社会的な信頼性を高めることが最大の狙いであると語っています。人の命を預かる医療現場にシステムを導入してもらうためには、何よりも安心感が欠かせないからです。市場から調達した資金は、主力の求人サービスをさらに成長させるだけでなく、病院やクリニック向けのシステム開発を担うエンジニアの増員に充てられる計画となっており、今後のサービス向上に大きな期待が寄せられます。
同社が展開する「ジョブメドレー」は、40種類以上の幅広い職種に対応した求人システムで、すでに全国17万もの事業所で活用されています。インターネット上で手続きが完結するため、従来の人材紹介会社を利用するよりも大幅にコストを抑えられる点が魅力です。SNS上でも「採用コストが劇的に下がった」「地方の個人医院でも求職者と出会える画期的なツール」といった喜びの声が数多く見られ、高い評価を得ています。
もう一つの大きな柱が、2016年03月から開始された医療システム「クリニクス」です。これは「電子カルテ」の管理やオンライン診療を支えるサービスです。電子カルテとは、これまで医師が紙に手書きしていた患者の病歴や処方薬の情報を、パソコンの画面上でデジタル管理する仕組みを指します。紛失のリスクが減るだけでなく、複数の医療機関で素早く情報を共有できるため、現代の医療現場には不可欠な存在と言えます。
しかし、現在の日本における電子カルテの普及率はわずか3割程度にとどまっており、医療現場のデジタル化は遅れているのが現状です。多くの病院が、インターネットに接続できない古いシステムや紙の書類での管理を続けています。こうした状況に対し豊田氏は、セキュリティへの配慮から慎重になるのは理解できるとしつつも、自社のクラウドシステムを利用すれば、安全性とコスト削減を両立できると確信しています。
メドレーは2019年03月に、島根県松江市のシステム開発会社であるNaClメディカルを買収しました。20年近くにわたり医療現場を支えてきた老舗企業の知見を取り入れることで、サービスのさらなる充実を図る狙いがあります。ネットの技術に強みを持つメドレーと、現場の専門知識を持つ外部企業が手を取り合うことで、より使いやすく安全なシステムが誕生することは間違いないでしょう。
オンライン診療の現状とこれからの展望
これからの医療を大きく変えると期待されているのが、パソコンやスマートフォン越しに医師と会話をするオンライン診療です。移動時間がかからないため、在宅医療が必要な地方の患者さんにとっては非常に心強い味方となります。しかし、現時点では紙の処方箋が必要であるなど、超えなければならない規制の壁が多く存在しており、すべての診察をすぐに置き換えるのは難しいという側面もあります。
この規制の緩和については、LINEとエムスリーが共同で新会社を設立するなど、大企業の参入によって業界全体が活発化しています。また、海外ではスマートフォンを用いた医療サービスが急速に浸透しつつあります。日本国内でも、国や自治体との対話を重ねることで、少しずつ利用しやすい環境が整っていくはずです。メドレーがこの先駆者としてどのようなアライアンスを築くのか、今後の戦略から目が離せません。
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