「東京パラリンピックでは、400メートルと1500メートルの両種目において、世界記録を更新した上での金メダル獲得を狙います」。日本車いす陸上界を牽引する30歳のエース、佐藤友祈選手(WORLD-AC)の決意は力強く、一切の迷いを感じさせません。
いよいよオリンピック・パラリンピックイヤーとなる2020年1月1日を迎えました。彼にとって初めての大舞台となった2016年のリオデジャネイロ大会では、競技を始めてわずか4年で世界2位という快挙を成し遂げているのです。
しかし、当時の彼の首に掛けられたのは2つの銀メダルでした。アメリカのレイモンド・マーティン選手に敗れた悔しさが、その後の彼を劇的に進化させる原動力となったのでしょう。打倒マーティン選手を掲げて己を鍛え抜いた結果、驚異的なスケールアップを果たしました。
現在ではなんと、400メートル、800メートル、1500メートル、5000メートルの4距離すべてで世界記録を保持する絶対王者へと成長しています。2019年11月に開催された世界パラ陸上競技選手権大会では、宿敵マーティン選手らを見事に抑え込み、400メートルで優勝を飾ったのです。
最後の直線で一気に逆転する圧巻のレース展開に、SNS上でも「佐藤選手のラストスパートに鳥肌が立った!」「スタートが改善されて隙がない、東京の金メダルは確実だね!」といった興奮の声が多数寄せられています。本人も「スタートの改善が最後の追い抜きに繋がった」と、確かな手応えを掴んでいるご様子です。
新兵器「レーサー」と共に目指す頂点
ここで、少し専門的なお話をいたしましょう。車いす陸上で使用される競技用車いすは「レーサー」と呼ばれます。日常用の車いすとは異なり、空気抵抗を極限まで減らした三輪のシャープな形状が特徴的ですね。
また、彼が出場する「T52」というクラスは、体幹の機能がなく、腕や指の筋肉にも制限がある選手が該当します。繊細なハンドリングと強靭な腕力が求められる、非常に過酷なカテゴリーだと言えるでしょう。
現在は「2020年2月にかけて国内でしっかりと走り込みを行いたい」と語り、2019年の春に新調したレーサーと自身の体を完全に一体化させることが当面の目標のようです。機材との親和性を高めるため、黙々と走行距離を積み重ねています。
編集者としての視点と今後の展望
メディア編集者として彼の軌跡を追ってきた私は、悔しさをバネにして全種目の世界記録を塗り替えたその精神力に、深く心を打たれています。他を圧倒する練習量と緻密な技術改善へのアプローチは、真のトップアスリートのみが持つ資質にほかなりません。
彼が長年抱き続けてきた4年越しの願いは、この東京の地で必ずや成就すると確信してやみません。男子400メートル車いすT52の決勝は2020年8月28日、そして同1500メートルの決勝は2020年8月30日に予定されているのです。
焦ることなく、着実に金メダルへの階段を上る佐藤選手。ぜひ皆さんも、自国の誇りを胸に駆け抜ける彼の雄姿に、熱いエールを送ってみてはいかがでしょうか。
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